2023年6月

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【加工】レーザによるスポット溶接

はじめに

溶接は、2つ以上の材料を結合するための手法であり、多くの産業で広く利用されています。しかし、その溶接にはサイズ的に大小さまざまなスケールが存在しています。その中でも微細レーザ溶接と(電気的なマクロな)スポット溶接は特に興味深い比較対象となります。

スポット溶接

形態と方法

溶接形態には様々ありますが、その中でもスポット溶接とは、金属を溶接するための一般的な方法で、2つの金属片の接触部分をスポット(点)で加熱し、金属を溶かし、一体化させる方法です。通常は電気で加熱することが行われます。

溶接手法の点では、微細レーザ溶接があります。これは、名前の通り、レーザ光を用いて微細な溶接を行う方法です。この技術は、繊細な部品や高精度を必要とするアプリケーションにとって最適であり、微細で精密な加工ができるレーザの特長をいかした溶接手法と言えます。

電気を用いたスポット溶接と微細レーザスポット溶接の違いは、使用するエネルギー源とその精度にあります。電気的なスポット溶接は電気を使用し、微細レーザ溶接はレーザ光を使用します。

電気的なマクロなスポット溶接は、溶接棒を接触させて加工します。スポットサイズがmmレベル以上と大きく、その形状の精度も高くありません。

一方で微細レーザスポット溶接は、非接触レーザを使用して金属を溶接する非接触プロセスです。レーザは、正確で再現性のあるエネルギーと持続時間を制御できます。このレーザ光が部品上の一点(1mm以下でも制御可能)に集中すると、エネルギー密度は非常に大きくなります。この光エネルギーは材料に吸収され、焦点を当てたビームが金属の一部を穿孔し、蒸発させ、溶融させる「キーホール効果」を引き起こします。レーザ照射が終わると、キーホール周辺の溶融金属が戻り、固化して小さなスポット溶接を作り出します。この全過程は数ミリ秒しかかかりません​1​。

レーザは毎秒多くのパルスを放つことができ、作業物や光学部品を移動させることで、別々の「スポット」溶接または一連の重なるスポット溶接を作り出すことができます。これを連続的に実施することで密閉されたレーザシーム溶接を作成することが可能です​1​。

このように、微細スポット溶接では、幅が0.1nm以下と微小な範囲の溶接に威力を発揮します。また、深さの調整も可能で、nm~mmオーダーまで幅広い特長があります。加工速度も速く、溶接速度は数メートル/秒と高速です​1​。

この技術は幅広い範囲の材料に適用できることも特長です。例えば、鉄鋼、ニッケル合金、チタン、アルミニウム、銅などの金属、PET、PEN、アクリルなどの樹脂も溶接できます。

応用例

微細レーザスポット溶接の典型的な応用例としては、100マイクロスポット溶接以下のコイル溶接、銅タブをスチールバッテリー缶への高速溶接、ワイヤーのリングスポット溶接、医療器具の溶接などがあります​1​。

レーザスポット溶接は一般的なレーザ溶接と比べて、更に精密な操作が可能であり、その結果としてより微細な部品の結合が可能になります。電子部品や医療機器など、微細な部品を使用する産業にとって非常に価値があります。これが、微細レーザ溶接が高付加価値を生み出すと言われる理由です。

さいごに

微細レーザスポット溶接は、通常の電気的なスポット溶接より、微細な範囲を正確に溶接できる特徴があります。そのサイズ、高速性から付加価値の高い溶接方法であると言えます。

マイクロエッヂプロセス株式会社では、レーザ微細溶接を得意としております。ご要望がありましたら、お気軽にお問合せください。

【加工】レーザ溶接と短パルスレーザ

レーザ溶接と短パルスレーザの関係

レーザ溶接は、その高い精度と制御性により、微細な部品を結合させる手法として広く使用されています。レーザの観点からすると、短パルスレーザは、その特異な性能から微細レーザ溶接において先進的な技術と言えます。この記事では、レーザ溶接における短パルスレーザの役割と利点について解説します。

短パルスレーザの特徴

短パルスレーザは、非常に短いパルス幅を持つレーザです。通常、数ナノ秒から数百ナノ秒のパルス幅を持つレーザの事を指します。この短いパルス幅により、レーザのエネルギーが非常に短時間だけ高強度で照射されます。

従来のレーザは、連続的に発振し続けるものであったり、パルス幅がマイクロ秒やミリ秒と長いものが多くありました。しかし、近年の技術の進歩で、短パルスレーザに分類されるナノ秒レーザや、超短パルスレーザと言われるピコ秒、フェムト秒レーザが開発され、産業応用されるようになってきました。

短パルスレーザの溶接応用の利点

短パルスレーザは、さまざまな特長があります。この技術を微細溶接に応用したときの利点は次の通りです。

  1. 小さな熱影響:短パルスレーザは、熱影響の領域(HAZ)が非常に小さいです。熱エネルギーを非常に短い時間だけ集中して照射させるため、溶接部周辺の HAZ を最小限に抑えることができます。これにより、微細な部品の溶接においても熱変形や材料の劣化を最小限に抑えることができます。
  2. 高い制御性: 短パルスレーザは非常に高い制御性を持ちます。パルス幅や出力を微調整することで、溶接プロセスのパラメータを細かく調整することができます。これにより、微細な溶接シームの作成や特殊な材料への対応が可能となります。
  3. 高い精度: 短パルスレーザは高い熱生成精度や照射位置精度を実現できるため、微細な部品の溶接に適しています。溶接シームの幅や深さ、及び、その位置を正確に制御することができます。
  4. 材料の広範な対応性: 短パルスレーザは、様々な材料に対応することができます。金属、プラスチック、セラミックスなど、さまざまな材料に対して高品質な溶接を実現することができます。また、波長を適切に選択することで、その効果はさらに高まります。

まとめ

短パルスレーザは、レーザ溶接において熱影響ゾーンの最小化、高い制御性、高い精度、および広範な材料の対応性を提供します。微細な部品の溶接において特に効果的であり、高品質な溶接を実現することができます。

参考文献:

  1. “Laser Welding 101: A Beginner’s Guide”, MachineMfg
  2. “Micro Welding: What You Need To Know [2023]”, Welding Central

【加工】レーザによるキーホール型溶接

はじめに

レーザ溶接の一つに「キーホール型溶接」という方法があります。この技術は、自動車、航空宇宙、医療機器などの製造業界で広く用いられており、その精密さと効率性から多大な評価を受けています。

キーホール型溶接とは?

まず、キーホール型溶接とは何か、その基本的なプロセスを説明いたします。

この溶接は、レーザビームの照射によって材料を溶融し、深い「キーホール」と呼ばれる穴を作り出します。レーザが素材に浸透すると、キーホールはレーザビームに続いて移動し、素材が再び固化するときには、一連の連続した接合部を形成します。このプロセスは、比較的深い接合部を作り出すことができるため、厚い部品の溶接に特に有用です。

このように、穴(キーホール)を空けて、複数の素材を溶接して結合することを「キーホール型溶接」といいます。

特徴

キーホール型溶接の特長は、その精度と効率性にあります。

レーザビームは直接、特定の領域に熱を供給するため、溶接の精度が高く、また、迅速な冷却が可能です。これにより、部品の変形や損傷のリスクが低減し、高品質な製品の製造が可能になります。

レーザでの得意な溶接手法と言えるでしょう。

キーホール型溶接の応用例

具体的な使用例を紹介します。

  • 重機製造
    • 大型機器や装置の製造において、厚い鋼板を結合するためにキーホール型溶接が利用されます。
  • 造船
    • 造船業では船の船体やその他の構造物の製造において、厚い鋼板を結合するために利用されます。
  • 航空宇宙
    • 航空機や宇宙船の部品を製造する際に、強度と精度が求められます。キーホール型溶接は、そのような要求を満たすための技術として利用されます。
  • 自動車
    • 自動車のボディパーツやエンジン部品の製造において、キーホール型溶接が利用されます。これは、自動車部品の製造では、強度、耐久性、そして精度が重要な要素となるからです。
  • 建築・土木
    • 建築物やインフラの製造において、鉄骨や他の構造材料を結合するためにキーホール型溶接が利用されます。

この技術は、産業界全体でその有用性と効率性から高く評価されています。今後も、さらなる技術進歩とともに、その使用範囲は広がっていくと考えられます。

 

参考

– Laser Welding Modes: Conduction, Transition, & Keyhole Welding – Baison

–  Laser and Laser-Arc Hybrid Welding in European Shipbuilding – TWI

 

【加工】微細レーザ溶接の原理

はじめに

レーザ溶接は、現代の製造業で広く使用されている技術の一つです。

しかし、その中でも特に注目すべきは「微細レーザ溶接」です。これは、極めて小さな部品に対する精密な溶接を可能にする進歩した技術で、その精度と適用性は医療、自動車、航空宇宙など、様々な産業で評価されています​1​。

レーザ溶接と微細レーザ溶接の違い

レーザ溶接と微細レーザ溶接は、両者ともレーザ光を用いて金属などの素材を溶かし、固めて接合するという基本的な原理は同じです。しかし、その適用範囲と精度には大きな違いがあります。

一般的なレーザ溶接は、サイズの大きな部品や構造体の接合に使用されます。そのため、比較的大きなエネルギーと熱を利用します。

これに対して、微細レーザ溶接は、小さな部品や微細な構造の接合に使用されます。寸法としては、厳密な定義はありませんが、おおよそ1mm以下程度の溶接範囲を指しています。そのため、使用するレーザも低出力で良い場合が多く、仕様エネルギーの点でもメリットがあります。また、連続発振のレーザだけではなく、パルス発振のレーザも用いられます。

微細レーザ溶接の原理

微細レーザ溶接の技術は、レーザ光の特性を利用しています。レーザ光は一定の方向に集中する性質を持っており、そのエネルギーを狭い範囲に集中させることで、特定の部分だけを高速に溶かして接合します。その結果、非常に小さな部品でも、その精度を損なうことなく溶接することが可能になります。

微細レーザ溶接には、溶接の種類によってさまざまな方法があります。例えば、伝導モード溶接は、低エネルギーレベルで幅が広くて浅い溶接を行います。一方、キーホールモード溶接はその幅に比べて深い溶接を行います。さらに、スキャナ溶接やシーム溶接といった他の方法もあります。部品の種類や接合強度等で、必要な溶接方式が適用されます。

微細レーザ溶接は、金属だけでなく、ガラスなどの他の素材にも適用できます。超短パルスレーザを使用したガラス溶接は、特に注目すべき技術で、非常に高い温度でガラスを溶かしつつ、熱影響領域(HAZ)を極めて小さい範囲に制限することが可能です。その結果、割れを発生させず、非常に高い精度でガラス部品を接合することができます。

微細レーザ溶接の利点

微細レーザ溶接は、その精度と効率性から多くの利点があります。特に、溶接部分の熱影響を小さく制限できるため、溶接後の変形や損傷を防ぐことができます。さらに、溶接の位置精度が高いため、微細な部品でもその形状や機能を維持することが可能です。さらに、レーザの種類や方式を選択することで、さまざまな溶接方法が利用可能であるため、部品の種類や溶接部位によって最適な溶接方法を選択することができます。

これらの利点から、微細レーザ溶接は、医療機器、自動車部品、航空宇宙部品など、多くの産業で利用されています。その精度と適応性は、これらの産業で高く評価され、広く利用されています。

まとめ

レーザ溶接は、その精度と効率性から広く利用されていますが、その中でも微細レーザ溶接は特に注目すべき技術です。小さな部品や複雑な形状の接合に対するその能力は、多くの産業で評価され、さまざまな応用が可能です。微細レーザ溶接の理解は、現代の製造技術の理解を深め、より良い製品作りに役立つことでしょう。

参考文献:

  1. Micro Laser Beam Welding – Microscopic Laser Welding Services | Superior Joining Technologies, Inc.
  2. A review on glass welding by ultra-short laser pulses – IOPscience