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【技術】光ファイバジャイロスコープ

概要

光ファイバジャイロスコープ(Fiber Optic Gyroscope, FOG)は、コイル内を進むレーザー光の干渉の原理を利用して回転を感知するセンサーです。特に、航空機、船舶、自動車、宇宙探査機などの姿勢制御やナビゲーションシステムで広く利用されています。

特徴

FOGの主な特徴は以下の通りです。

  1. 高精度
    FOGは非常に高い角速度測定精度を持っています。これにより、航空機や宇宙探査機など、非常に精密な姿勢制御が求められる応用に適しています。
  2. 磁気干渉に強い
    FOGは光を利用して動作するため、磁気的な干渉を受けにくいです。これにより、磁場が強い環境でも正確な測定が可能です。
  3. 高信頼性
    機械的な可動部品がないため、FOGは高い信頼性を持ち、長期間の使用にも耐えられます。また、耐久性が高く、メンテナンスの頻度も低く抑えられます。
  4. 高い分解能
    FOGは非常に高い分解能を持っており、微小な角速度変化を検出することができます。これにより、精密な動きの検出が可能です。
  5. 温度安定性
    FOGは温度変化に対して安定した性能を示します。これにより、幅広い温度範囲で高い精度を維持することができます。
  6. 小型・軽量
    光ファイバ自体が小型で軽量であるため、FOGも同様に小型化が可能です。これにより、航空機や宇宙探査機などの重量制限がある応用にも適しています。
  7. 広いダイナミックレンジ
    FOGは広いダイナミックレンジを持ち、非常に低速な回転から高速な回転まで幅広く対応できます。これにより、さまざまな応用で利用可能です。
  8. 高い直線性
    FOGは高い直線性を持ち、入力された角速度に対して正確な出力を提供します。これにより、測定結果の信頼性が向上します。
  9. 組み込みやすさ
    光ファイバは柔軟であり、さまざまな形状や構造に組み込むことができます。これにより、設計の自由度が高まり、応用範囲が広がります。

構成

光ファイバジャイロは主に以下の5つの要素から構成されます。

  1. 光源: 通常はレーザーダイオードなどが使用され、コヒーレントな光を発生させます。
  2. ビームスプリッタ: 光源からの光を二つの光路に分けます。
  3. 光ファイバコイル: 長い光ファイバが螺旋状に巻かれたコイルで、光がこのコイルを時計回りと反時計回りに進みます。
  4. 干渉計: 光ファイバコイルを通過した二つの光路が再び合流し、干渉縞を形成します。
  5. 検出器: 干渉縞を検出し、その変化を解析して角速度を算出します。

動作原理

  1. 光源からの光の発生: レーザーダイオードから発生した光がビームスプリッタに送られます。
  2. 光路の分割: ビームスプリッタによって光は二つの光路に分割され、一方の光は時計回り(CW)、もう一方の光は反時計回り(CCW)に進みます。
  3. 光ファイバコイルの通過: 分割された光は光ファイバコイルを通過します。このとき、装置全体が回転していると、回転方向に応じて光が進む経路長が変わります。
  4. 位相差の発生: 回転による経路長の差により、CWとCCWの光間に位相差が生じます。この位相差はSagnac効果により決定されます。
  5. 干渉縞の形成: 光ファイバコイルを通過した二つの光は再びビームスプリッタで合流し、干渉計で干渉縞を形成します。
  6. 検出と解析: 干渉縞の変化は光検出器によって検出されます。この干渉縞の変化から位相差が計算され、さらにその位相差から回転速度が算出されます。

応用例

冒頭でも述べたように、FOGは姿勢制御やナビゲーションシステムの分野で広く利用されています。以下はその具体例です。

  1. 航空機・ヘリコプター
    航空機やヘリコプターの姿勢制御、航法システムに利用されています。FOGは高精度で信頼性が高く、磁気的な干渉を受けにくいという特長があります。
  2. 無人航空機(ドローン)
    無人航空機の姿勢制御やナビゲーションに用いられます。特に高精度な位置情報が必要な場合に効果的です。
  3. 宇宙探査機
    宇宙探査機の姿勢制御や航法に使用されています。FOGは極端な環境条件下でも動作するため、宇宙での利用に適しています。
  4. 自動車
    自動運転車や高精度ナビゲーションシステムにおいて、車両の姿勢や方位を正確に測定するために利用されています。これにより、より精度の高い自動運転が実現されます。
  5. 船舶・潜水艦
    船舶や潜水艦の航法システムにおいて、ジャイロコンパスとして使用されています。FOGは長時間の使用でも高い精度を保ちます。
  6. 地震計
    地震の揺れを高精度で測定するための地震計として使用されることがあります。FOGの高感度特性が揺れの微細な変化を捉えるのに適しています。
  7. インフラモニタリング
    建物や橋梁などの構造物のモニタリングに利用されます。構造物の変位や揺れを高精度で測定することができます。
  8. 医療機器
    一部の医療機器、特にイメージング装置や手術用ロボットにおいて、FOGが用いられます。精密な動きの制御が求められる場面で役立ちます。

参考

  1. 光ファイバージャイロスコープ(FOG)とは?
  2. 光ファイバージャイロ | オプティペディア – Produced by 光響

【技術】マイクロレンズアレイ

概要

マイクロレンズアレイ(Micro Lens Array, MLA)は、複数の微小なレンズを規則的に配列した光学素子です。これらのレンズは、それぞれが光を収束または発散させる役割を持ち、様々な光学的応用に利用されます。直径は数ミクロンから数百ミクロン程度で、ガラスやプラスチックなどの材料から作られます。製造方法には、リソグラフィ技術やエッチング技術、インプリント技術が用いられ、半導体製造と類似した方法が採用されています。

原理

  1. 光の屈折:
    マイクロレンズアレイの各レンズは、曲面を持つため、光がレンズを通過する際に屈折します。この屈折によって、光の経路が変わり、収束または発散します。レンズの形状や材料によって屈折率が決まり、これが光の屈折角に影響を与えます。
  2. 光の集束:
    集光レンズとして機能する場合、入射光を一つの焦点に集めます。これは、凸レンズの原理と同様で、レンズの曲率半径と材料の屈折率によって焦点距離が決まります。集光された光は、より明るく、エネルギー密度が高くなります。
  3. 光の発散:
    逆に、光を発散させることもできます。凹レンズの原理を利用して、入射光を広げることが可能です。これにより、広範囲にわたって光を分散させることができます。

製造技術

マイクロレンズアレイの製造には主に以下のような技術が応用されています。

  1. フォトリソグラフィ:
    半導体製造技術を応用して、フォトマスクを使用し、基板上にマイクロレンズのパターンを形成します。光感応性ポリマーを使って、パターンを転写し、その後エッチングによってレンズ形状を作り出します。
  2. モールドインプリント:
    高精度なモールドを用いて、プラスチックやガラス基板にマイクロレンズパターンを転写します。この方法は、大量生産に適しており、コスト効率が高いことが特徴です。
  3. エッチング:
    乾式または湿式エッチング技術を用いて、基板から不要な部分を除去し、レンズ形状を形成します。エッチング条件を精密に制御することで、高精度なレンズを作り出します。

応用例

マイクロレンズアレイの主な応用例は以下の通りです。

光通信

  1. 光ファイバーのカップリング:
    光ファイバーと他の光学素子(例えば、レーザーやフォトディテクター)との間で光を効率的にカップリングするために使用されます。これにより、光の伝送ロスを減少させ、通信効率を向上させます。
  2. 波長分割多重化(WDM):
    WDMシステムでは、異なる波長の光を一つの光ファイバーに同時に伝送します。マイクロレンズアレイは、異なる波長の光を分離または結合するために利用されます。

ディスプレイ技術

  1. 高解像度ディスプレイ:
    マイクロレンズアレイは、ピクセルごとに光を集光させることで、ディスプレイの輝度とコントラストを向上させます。これにより、画面の鮮明さが増し、視覚的な体験が向上します。
  2. 3Dディスプレイ:
    裸眼で3D映像を楽しむために、マイクロレンズアレイを利用して各目に異なる視差画像を提供します。これにより、立体的な映像が実現されます。

イメージングシステム

  1. レンズレスカメラ:
    マイクロレンズアレイをセンサーの前に配置し、各レンズが異なる視点の光を集めることで、複数の視点からの画像データを取得します。このデータを処理して、焦点を合わせた画像を再構成します。
  2. 顕微鏡:
    マイクロレンズアレイは、顕微鏡において焦点深度を拡大するために使用されます。これにより、試料のより深い部分を同時に観察することが可能となります。また、解像度を向上させるためにも利用されます。

照明

  1. LED照明:
    LEDからの光を均一に分散させるためにマイクロレンズアレイを使用します。これにより、影のない均一な照明を提供できます。
  2. プロジェクター:
    プロジェクターの光源から出る光を効率的に利用し、明るく鮮明な投影を実現するために使用されます。

センシング

  1. 生体分子検出:
    バイオセンサーにおいて、試料中の生体分子を検出するために使用されます。マイクロレンズアレイは、光の集光能力を利用して、微小な生体分子の検出感度を高めます。
  2. 環境モニタリング:
    環境中の化学物質や汚染物質を検出するための光センサーに利用されます。高感度で迅速な検出が可能です。

今後の展望

まず、ナノフォトニクスとの融合により、MLAのさらなる小型化と高精度化が進むでしょう。これにより、光学デバイスの性能が向上し、微細加工技術も進展します。次に、ARやVRデバイスへの応用が進み、高解像度で軽量なディスプレイが実現されることで、より没入感の高い視覚体験が可能になります。また、メタマテリアルを利用したメタレンズ技術との統合によって、MLAの光学特性がさらに向上し、多機能な光学デバイスの開発が期待されます。

バイオメディカル分野では、MLAを用いた高感度なバイオセンサーの開発が進み、疾病の早期発見や迅速な診断が可能になるでしょう。特に、ラボオンチップ技術との組み合わせにより、ポータブルで即時に検査結果を得られるデバイスが期待されます。環境モニタリング分野では、MLAを利用したリアルタイムの微量汚染物質検出センサーが進化し、より効果的な環境保護が可能になります。

さらに、光コンピューティングにおいては、MLAが光の情報処理を効率的に行うための重要なコンポーネントとなり、従来の電子コンピュータよりも高速でエネルギー効率の高いコンピューティングが実現されます。最後に、ホログラフィックディスプレイ技術が進展することで、よりリアルな3D映像の表示が可能となり、エンターテインメントや教育、医療などの分野での利用が期待されます。このように、MLAは今後も多くの技術分野で重要な役割を果たし続けるでしょう。

参考

  1. マイクロレンズアレイ|製品情報
  2. マイクロレンズアレイの紹介丨準備・加工方法と応用

【技術】レーザースペックル血流速計

概要

レーザースペックル血流速計(Laser Speckle Blood Flowmetry)は、レーザー光のスペックルパターンを使用して血流速度を測定するための非侵襲的な技術です。この技術は、生体組織表面の微小な振動(スペックル)をモニタリングし、それに基づいて血流の速度を推定します。

歴史

レーザースペックル血流速計の原理は、1970年代に発見されましたが、実用化されたのはそれ以降のことです。1980年代から1990年代にかけて、この技術は生物医学研究の分野で急速に発展し、血流ダイナミクスの研究や臨床応用において重要なツールとなりました。

原理

レーザースペックル血流速計は、レーザー光を生体組織表面に照射し、散乱された光のスペックルパターンを観察します。血流が組織内を流れると、スペックルパターンに微小な変化が生じます。これは、血液細胞が移動することによるものです。この変化を分析することで、血流速度を推定します。

特徴

  • 非侵襲的: 生体組織の表面にレーザー光を照射するだけで血流速度を測定できます。
  • 高速: リアルタイムでの測定が可能であり、迅速な結果の取得が可能です。
  • 高い空間分解能: 微小な血管や組織の血流速度を高い精度で測定できます。

応用例

  • 臨床医学: 血流速度の変化は、循環障害や血管疾患などの疾患の診断や治療のモニタリングに使用されます。
  • 生理学研究: 血流速度の変化を測定することで、生理学的なプロセスや組織の機能を理解するための研究に貢献します。
  • 薬物開発: 薬物の血流への影響を評価するためのツールとして使用されます。

参考資料

【技術】光導波路

概要

光導波路(optical waveguide)は、光を特定の経路に沿って伝搬させるための構造です。これは、光ファイバー通信や光集積回路(光IC)など、多くの光技術において重要な役割を果たします。

構成

光導波路は主に以下の3つの部分から構成されています。

  • コア(Core): 高い屈折率を持つ部分で、光が伝搬する経路です。
  • クラッド(Cladding): コアを取り囲む低い屈折率の層で、光の漏れを防ぎ、全反射を促進します。
  • バッファ(Buffer): (場合によっては)外部環境から保護するための層です。

全反射

光導波路の動作原理は、主に屈折率の異なる材料間での光の反射と屈折に基づいています。
光が異なる屈折率を持つ媒質間を通過する際、その角度は以下のスネルの法則に従います。(\(n_1\)と\(n_2\)はそれぞれの媒質の屈折率、 \(\theta_1\)と\(\theta_2\)は入射角と屈折角)$$n_1\rm{sin}\theta_1=n_2\rm{sin}\theta_2$$
高い屈折率の媒質(コア)から低い屈折率の媒質(クラッド)へ光が進む場合、入射角がある臨界角以上になると、光は全反射し、クラッドに進まずコア内に留まります。この臨界角は以下の式により表すことができます。
$$\theta_c=\rm{sin}^{-1}\left(\frac{n_2}{n_1}\right)$$

モード

光導波路内を伝搬する光には「モード」と呼ばれる特定のパターンがあります。導波路の設計やサイズにより、伝搬するモードの種類や数が決まります。

  • 単一モード(Single-mode)導波路: 1つのモードのみが伝搬する構造で、高速かつ長距離通信に適しています。光ファイバー通信で一般的です。
  • 多モード(Multi-mode)導波路: 複数のモードが伝搬する構造で、データセンター内部などで短距離通信に使用されます。

減衰と分散

光導波路内での光の伝搬には、減衰と分散の問題があります。

  • 減衰: 光の強度が距離とともに減少する現象。材料の不純物や吸収、散乱が原因です。
  • 分散: 光パルスの広がりにより、信号が歪む現象。異なる波長の光が異なる速度で伝搬するためです。

種類

代表的な光導波路の種類を以下に示します。

光ファイバー

光ファイバーは、最も一般的な光導波路で、長距離通信に広く使用されています。その中でも大きく2つに大別されます。
単一モードファイバーはコアの直径が非常に小さく、通常8~10ミクロン程度です。1つのモードのみが伝搬し、長距離通信や高速データ伝送に適しており、インターネットのバックボーンなどに使用されます。
多モードファイバーはコアの直径が50~100ミクロンと大きいです。複数のモードが伝搬するため、モード間分散が発生しやすく、短距離通信に適しており、データセンター内やLANで使用されます。

平面光導波路

平面光導波路は、平面状の基板上に形成された導波路で、光集積回路(PIC)などで使用されます。
シリコンフォトニクスはシリコンを基材とする導波路で、CMOSプロセスと互換性があり、電子回路と光回路の統合が容易です。高速データ通信、データセンター、光コンピューティングなどに使用されます。
高分子光導波路は高分子材料(ポリマー)で作られた導波路です。柔軟性があり、曲げやすく、大面積に対応可能です。フレキシブルディスプレイ、センサー、バイオフォトニクスなどに使用されます。

ナノ導波路

ナノ導波路は、ナノスケールの寸法を持つ導波路で、非常に高密度な光回路を実現できます。高い集積度を持ち、量子ドットやナノ粒子と組み合わせて使用されることが多いです。ナノフォトニクス、バイオセンシング、量子通信などに使用されます。

プラズモニック導波路

プラズモニック導波路は、金属表面でのプラズモン共鳴を利用して光を伝搬させます。金属ナノ構造を利用し、光と電子の相互作用を強くする設計です。光の波長以下の寸法で光を閉じ込めることができ、ナノスケールでの光操作が可能です。ナノフォトニクス、光センサー、高密度光データストレージなどに使用されます。

導波管型導波路

導波管型導波路は、基板上に隆起した形状の導波路です。基板上にエッチングや堆積によって形成された隆起部分がコアとなります。高い製造精度が必要ですが、損失が少なく高効率です。集積フォトニクスデバイス、レーザー光源、光スイッチングデバイスなどに使用されます。

今後の展望

光導波路技術は、光通信やセンサー技術などの分野で重要な役割を果たしており、今後も多くの進展が期待されています。

高速通信とデータセンター

5Gの普及と6Gの研究が進む中で、光導波路はバックホールやフロントホールでの高速データ伝送に不可欠です。またデータセンターでは、大量のデータを低遅延で処理するために、シリコンフォトニクスを利用した光導波路が求められています。これは、電力消費の削減と通信速度の向上を両立します。

シリコンフォトニクス

シリコンフォトニクスは、既存のCMOSプロセスと互換性があり、電子回路と光回路を同一基板上に統合することが可能です。これにより、光コンピューティングや高度な光信号処理デバイスが実現します。
また、シリコンフォトニクス技術の進展により、大規模生産が可能となり、コストが低減されます。これにより、より広範なアプリケーションでの利用が進むことが期待されます。

ナノフォトニクス

ナノフォトニクス技術を用いることで、光回路のさらなる小型化と高集積化が可能となります。より高密度な光集積回路が実現し、次世代のコンピュータチップに組み込まれることが期待されます。さらに、ナノスケールの光導波路は、量子ドットやナノ粒子と組み合わせることで、量子ビットの操作や量子情報処理に利用されます。これにより、量子コンピューティングの実用化が進むでしょう。

プラズモニック導波路

プラズモニック導波路は、光をナノスケールで操作できるため、データストレージやセンサー技術での高密度化が期待されます。さらに、極めて高感度なバイオセンサーを実現することも可能です。これにより、医療診断や環境モニタリングの精度が向上します。

新材料と製造技術

グラフェンやその他の2次元材料を用いた光導波路は、高い光伝導性と低損失を持ち、次世代の高速データ通信やセンサー技術に応用されます。また、ナノインプリントリソグラフィーなどの先進的な製造技術により、光導波路の微細構造の作製が可能となり、性能が向上します。

環境と持続可能性

光導波路技術の進展により、低消費電力の光デバイスが開発され、データセンターや通信ネットワークのエネルギー効率の向上が期待されます。

参考

  1. 3分でわかる技術の超キホン 光導波路の基礎知識・要点解説《種類/原理と構造/モードなど》
  2. 超小型 ・ 高密度集積に向けた光導波路技術

【技術】分光計(spectrophotometer)

概要

分光計(spectrophotometer)は、入射した光を波長ごとに分解し、その光の強度を測定する装置です。この装置は、物質の光学的な特性を調査し、その組成や構造、化学的性質などを分析するために広く使用されています。以下では、分光計の構造と機能についてさらに詳しく説明します。

構造と機能

  • 光源: 分光計には、さまざまな種類の光源が使用されます。可視光や近赤外光の分析には、ハロゲンランプやデューランドランプが一般的です。紫外光の分析には、水銀ランプがよく使われます。最近では、レーザー光源も利用されることがあります。これらの光源は、分光器に光を供給します。
  • 分光器: 入射した光を波長によって分解する部分です。一般的な分光器には、プリズムや回折格子が使用されます。光がこの部分を通過すると、異なる波長の光が異なる方向に分散されます。これにより、光は波長ごとに分解され、スペクトルが生成されます。
  • 試料室: 分光器の中には、試料を置くための試料室があります。試料は光源からの光を受けて反射、吸収、透過などの反応を示します。これにより、試料の光学的特性を測定することができます。
  • 検出器:分光された光の強度を測定するための部分です。光電子増倍管(PMT)やCCD(Charge-Coupled Device)などの検出器が一般的に使用されます。これらの検出器は、波長ごとの光の強度を電気信号に変換し、コンピューターに送信します。
  • データ処理:測定されたデータはコンピューターに送られ、解析や処理が行われます。波長ごとの光の強度をグラフやスペクトルとして表示し、さまざまな解析手法を用いて物質の特性を調査することができます。

応用例

  • 分析化学: 特定の物質の吸収スペクトルや放射スペクトルを測定することで、その物質の特性や濃度を定量化することができます。例えば、UV-Visible分光法は、溶液中の物質の濃度を測定するために使用されます。
  • 生物医学: 生物学的試料から得られるスペクトルは、たんぱく質、核酸、脂質などの生体分子の特性を明らかにします。また、血液や尿中の特定の化学物質の濃度を測定するためにも使用されます。
  • 環境科学: 大気、水、土壌などの環境サンプルから得られるスペクトルを分析し、環境中の汚染物質や有害物質の存在や濃度を評価することができます。また、農業や食品科学の分野でも、農作物や食品中の成分や汚染物質を分析するために使用されます。
  • 材料科学: 材料の光学的性質や組成を調査し、特定の材料の反射スペクトルや透過スペクトルを測定することで、その材料の特性や品質を評価することができます。また、薄膜の厚さや組成を測定するためにも使用されます。
  • 化学反応のモニタリング: 化学反応の進行状況や反応速度をモニタリングし、反応中の化学物質の濃度や生成物の形成をスペクトル解析することで、反応のメカニズムやキネティクスを理解するのに役立ちます。

参考文献

【レーザ】光ピンセット

概要

光ピンセットは光トラップとも呼ばれている。簡単な仕組みとしては、光子の散乱による運動量伝達により、マイクロメートルほどの粒子を止める力が発生し、粒子をとどめる。

構成

レーザ光源

光ピンセットの構成はいくつかの主要な要素から成り立っている。以下に、典型的な光ピンセットの構成要素を説明する。

コリメーションレンズ

レーザーから出力される光は拡がっているため、コリメーションレンズが使用されて光を平行にする。この作業には2枚のミラーを使用する。なぜならば、光は3次元に存在し、光をベクトルと考えると二点が決定されないとそのベクトルが定義されないからである。すなわち、ある光に対して平行な光を作成するとなると2枚以上のミラーが必要なのである。これにより、光ピンセットの効率が向上し、捕捉される物体への光の集光がより効果的になる。

ハイブリッド光学系

光ピンセットの光学系は、レーザー光を操作するための複雑な光学要素から構成される。この中には、ビームスプリッター、ミラー、レンズ、および偏光フィルターなどが含まれる。これらの要素は、光の経路や特性を制御し、捕捉される物体の位置や移動を調整する。

検出および制御システム

光ピンセットは、捕捉された物体の位置や動きを検出し、必要に応じて制御するための検出および制御システムが不可欠である。これには、光検出器、カメラ、およびコンピューター制御装置が含まれる。これらのシステムは、捕捉された物体を追跡し、外部の操作者や自動化されたアルゴリズムによって制御されることもある。これらの要素が組み合わさり、光ピンセットは微小な物体の捕捉と操作を可能にする。

これらの要素が組み合わさり、光ピンセットは微小な物体の捕捉と操作を可能にする。

特徴

非接触性操作

光ピンセットは、物体を捕捉するためにレーザー光を使用するため、物体との接触が必要ない。ゆえに、微小な物体を傷つけることなく操作することが可能である。特に生物学や医学の分野では、細胞や生体分子などのデリケートな物体を扱う際に有用である。

高い精度と制御性

光ピンセットは、レーザー光を用いて微小な物体を捕捉し、その位置や動きを制御することができる。レーザー光の集光により、非常に高い精度で物体を操作することが可能である。また、捕捉された物体の位置や動きをリアルタイムで追跡し、必要に応じて制御することができる。

非常に小さいスケールでの操作

光ピンセットは、ナノスケールからマイクロスケールの物体を捕捉して操作することができる。よって、微小な構造体や粒子などの研究において、非常に有用だ。

光ピンセットのこれらの特徴により、微小な物体の操作や研究において非常に有用なツールとなっている。そのため、生物学、医学、物理学、化学などのさまざまな分野で幅広く活用されている。

歴史

  • 1986年 – アーサー・アシュキンの開発: アーサー・アシュキンは、レーザー光を用いて微小な物体を捕捉する手法を開発した。この手法は後に「光ピンセット」として知られるようになった。アシュキンはこの成果により、2018年にノーベル物理学賞を受賞した。
  • 1987年以降 – 応用の拡大: 生物学や医学の分野では、細胞や生体分子などの微小な物体を捕捉して操作するためのツールとして広く利用されるようになった。また、物理学や化学の分野でも、微粒子やナノ構造体などの研究に役立ていた。
  • 1990年代以降 – 技術の改善と発展:
  • 1990年代以降、光ピンセットの技術はさらに発展し、その性能や精度が向上した。レーザー技術の進歩や光学機器の改良により、より高速で高精度な操作が可能になった。また、光ピンセットの応用範囲も拡大し、さまざまな研究分野で活用されるようになった。
  • 2000年代以降 – 商業化と普及:
  • 2000年代以降、光ピンセットの技術は商業化され、研究室や産業界で広く普及した。さまざまなメーカーから光ピンセットの商用システムが販売されるようになり、研究者や技術者が容易に利用できるようになった。

参考

【技術】複屈折材料

はじめに

様々な光学部品が有る中でその材質に結晶材料が使われていることがあります。その中で代表的なものとして水晶があります。水晶は分子式SiO2で結晶化していない状態は石英ガラスと呼ばれます。(水晶を溶かして固めたものを溶融石英ガラスと言われます。)結晶は7つの結晶系(結晶構造)に分類でき、水晶は六方晶系(hexagonal)に属します。

水晶の特性

この水晶には複屈折があり、光を2つに分ける特徴があります。結晶の光学軸に対し直行するように光を入れた時、透過した光はそのまま直進する光とずれて出てくる2つの点になります。直進してきた光を常光線と言い、ずれた光を異常光線と呼びます。この2つの光は位相が揃っているので偏向板を通して見ると、偏向板と直行する方の光が消えたように見えます。

この複屈折を利用して、様々な光学部品が作られます。

【技術】光の速さ

光の速さの比較

私たちの身近にある光ですが、何となく理解している方が多いのではないでしょうか?

今回は光の速さを身近?なものと比較してみました。

  • 人の歩く速度は凡そ時速4㎞/h、文字通り1時間で4㎞すすむ速度になります。
  • 自動車のスピードメータ上限が180㎞/hで1時間に180㎞進むことになります。
  • 時速180km/hで走行する車は1分間では3㎞、1秒間では50m移動することになります。

1秒間での移動速度を秒速で表されます。〇〇m/s(1秒間で何m移動)、●●km/s(1秒間で何km移動)

この単位を使って他の速度と比較してみます。

音、戦闘機、ロケット、隕石等

光の速さがとても速いことが分かります。

余談になりますが、お月様を観察したとき、光の速さで1.26秒の時間がかかります、つまりは、1.26秒の過去を見ていることになるわけです。(往復なら約2.5秒)

なんだか不思議な感じがします。