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【レーザ】ファイバーレーザ

概要

現在、様々なレーザーが開発、利用されていますが、特に近年の利用が拡大しているのは、ファイバーレーザーではないでしょうか。

ファイバーレーザーとは、希土類を添加した光ファイバーを媒質に用いた固体レーザーです。高出力なCW(連続発振)と低出力なパルス発振のタイプがあります。


光ファイバーは、ガラスや樹脂など透明な誘電体でできており、全反射により光が伝搬していく過程で増幅されます。安定的に光が伝搬されるため、高効率が得られる利点があります。

板金溶接や切断、マーキングなどに利用されます。近年は、波長変換や短パルス化により微細加工への応用も進んでいます。

大出力レーザーでは、100kW以上のものも実用化されています。

原理

ファイバーレーザーでは、通常のクラッド内部に希土類(Yb, Nd, Er, Er:Yb 等)をドープしたコアで形成されたした光ファイバーを使用します。励起光としてLDが使われることが多いです。
励起光は、全反射しながらファイバー内を進んでいきます。その過程で中央のコアで反転分布が起きレーザーが発生します。励起光はコアで減衰しますが、レーザー光はコアの中を全反射しながら励起、増幅を繰り返すことになります。発振される波長は、ドープされる希土類によって異なります。このように、光ファイバそのものが共振器として動作します。


比較的低出力のレーザーには、シングルモードファイバーを、高出力のレーザーにはマルチモードファイバーを利用します。

特徴

  • 波長選択性
    コアにドープされる希土類元素による出力波長の選択(例:Yb:1030nm~1100nm Er:1500nm)
  • 高安定性
    光ファイバー中の反射・増幅でレーザー発振するので、低いメンテナンスコストで安定した出力
  • 高効率
    変換効率が高い(~30%)

応用例

加工の観点から、以下のような幅広いアプリケーションで使用されています。

  • 溶接・切断
  • マーキング
  • 微細加工
  • 医療・ライフサイエンス(レーザーメス等)

歴史

最初のファイバーレーザーは、Snitzerにより開発されたと言われています。フラッシュランプに巻かれたファイバーによりレーザー発振を実現しました。

1980 年代後半には、低損失なガラスファイバーが開発され、光信号をそのまま増幅できるようになり、レーザー媒質としての利用が進みました。また、励起光源として使用するLD の普及と高性能化と共に光ファイバーのレーザー増幅器としての研究開発が急速に進みました。

このようにレーザーの中でも比較的新しい部類に入りますが、近年は、その利用範囲が急拡大しています。

参照

ファイバーレーザーとは – ケイエルブイ

ファイバーレーザーの特徴について – UW JAPAN株式会社
ファイバーレーザの歴史 | オプティペディア – Produced by 光響

【レーザ】ディスクレーザ

概要

ディスクレーザは、固体レーザでありながら独特の冷却法により、レーザビームに与える光学的な歪みは最小となり、「熱レンズ効果」が大幅に低減されるレーザです。

原理

ディスクレーザは、固体レーザのLD励起固体レーザの一種で、円盤状のレーザ媒質を使用して光を発生させる点が大きな特徴です。

以下に、ディスクレーザーの原理をまとめます。

  • レーザ媒質の選択
    ディスクレーザでは、レーザ媒質として水晶体やセラミックスなどの固体を用います。レーザ媒質は、通常Nd:YAG、Nd:YVO4、Nd:glass、Er:YAG、Cr:YAGなどが用いられます。
  • ポンピング
    ディスクレーザでは、レーザ媒質に外部からポンプ光を照射して、レーザ媒質内に電子を励起することでレーザ発振を起こす。ポンプ光には、フラッシュランプ、ダイオード、光ファイバーなどが使われる。
  • 光共振器
    レーザ媒質を光共振器の中に配置し、光が往復するようにすることでレーザ発振を起こす。ディスクレーザでは、円盤状のレーザ媒質を平行な2枚の鏡に挟んで光共振器を形成する。
  • 高出力レーザー発振
    ポンプ光によってレーザ媒質内の電子が励起されると、励起された電子が放出する光子が、光共振器内で他の励起された電子と衝突して更に発光が起こります。これによってレーザ光が増幅され、高出力レーザが発生する。

以上が、ディスクレーザの原理です。

特長

ディスクレーザは、非常に高出力で、比較的小型であり、高い効率でレーザ光を生成することができます。このディスクレーザには、以下のような特長があります。

  1. 高出力: ディスクレーザは、非常に高出力であり、光ファイバー通信、医療、自動車業界など、様々な分野で使用されています。
  2. 高効率: ディスクレーザは、光の反射率が非常に高く、光の損失を最小限に抑えることができます。これにより、ディスクレーザは、効率的なレーザー発振を実現することができます。
  3. 短いパルス幅: ディスクレーザは、非常に短いパルス幅でレーザー光を生成することができます。これは、医療用レーザや材料加工用レーザなど、高精度な作業に必要な要件である場合があります。
  4. 冷却: ディスクレーザは、レーザ発振によって発生する熱を効果的に放散するために、高度に冷却されています。これにより、ディスクレーザは、安定したレーザ発振を実現することができます。
  5. 多様な波長: ディスクレーザは、波長変換により、多様な波長のレーザ光を発生することができます。これにより、ディスクレーザは、様々な用途に使用することができます。
  6. 小型化: ディスクレーザは、比較的小型であり、スペースの制限がある分野でも使用することができます。

歴史

ディスクレーザは、現代のレーザ技術における重要な役割を果たすレーザの一種であり、1993年にシュツットガルト大学のDr. Adolf Giesenらによってディスクレーザの実証がなされて以来、シングルディスクによる出力はCW発振で4kWまで向上し、今日では材料加工などに一般的に使われるようになってきました。
初期のディスクレーザは、比較的低出力であり、科学研究に主に使用されていましたが、その後、技術が進歩し、高出力の産業用レーザや医療用レーザにも使用されるようになりました。ディスクレーザの応用範囲は、溶接や切断、加工、医療用途など多岐にわたります。

現在、ディスクレーザの研究は、出力の向上、安定性の向上、コンパクトな設計の開発など、様々な方向に向けられています。また、ディスクレーザは、より多様な材料を処理することができるようになるなど、新しい応用分野が開発される可能性があります。

応用

ディスクレーザは、その高出力と比較的小型化された設計から、現代のレーザ応用において重要な役割を果たしています。今後の可能性としては、以下のようなものがあります。

  1. 新しい材料の開発:ディスクレーザの性能を向上させるためには、レーザー材料の改良が必要です。新しい材料の開発により、より高出力かつ効率的なディスクレーザが実現できる可能性があります。
  2. より高出力のレーザの開発:ディスクレーザの出力は既に非常に高く、産業や医療、科学などの様々な分野で利用されていますが、さらに高出力のレーザが必要な場合もあります。ディスクレーザの設計の改善や新しいレーザ材料の開発によって、より高出力のディスクレーザが実現できる可能性があります。
  3. 新しい応用分野の開拓:ディスクレーザは、現代の科学や工業技術において幅広く応用されていますが、まだまだ新しい応用分野が開拓される余地があります。たとえば、医療分野においては、ディスクレーザを用いたレーザ手術やレーザ治療の新しい技術が開発される可能性があります。
  4. 省エネルギー化:ディスクレーザは、その高出力にもかかわらず、比較的省エネルギーで動作することができます。今後は、より省エネルギーかつ環境にやさしいディスクレーザの開発が求められることが予想されます。

参考

ディスクレーザーによる加工

ディスクレーザー

【レーザ】ルビーレーザ

概要

ルビーレーザーは、合成ルビー結晶を利得媒質とする固体レーザーの一種です。

1960年5月16日、ヒューズ研究所のTheodore H. Maimanによって作られたルビーレーザーが最初の実用化されたレーザーです。

ルビーレーザーは、波長694.3nmのコヒーレントな深い赤色の可視光線のパルス発振のレーザーで、一般的なパルス長は、1ミリ秒のオーダーとなっています。

構成

ルビーレーザーは、多くの場合、ロッド状のルビーを媒質として構成されています。合成ルビー、すなわちアルミナ骨格 (Al2O3) の Al 原子のうち0.01~0.5%程度が発光原子であるクロムに置換されたものをレーザ媒質として用います。

反転増幅をさせるために、キセノンフラッシュランプ等で非常に高いエネルギーで励起します。このルビーロッドは共振器である 2 枚の鏡の間に置かれ、ルビーの蛍光によって生じる光を発振させ、誘導放出させられます。

ルビーは可視光領域の光を発する数少ない固体レーザーで、694.3nmで発振し、0.53nmという非常に狭い線幅であるというのが特徴です。

ルビーレーザーは他の材料に比べてパルス幅を長くすることができ、非常に高いエネルギーでの励起が可能です。また、非常に広い吸収プロファイルを持つ一方で、その変換効率は他の媒体に比べて非常に低いというのが欠点となっています。

また、近年美容用途で用いられる場合には、Qスイッチをつけて短時間だけ照射することで、皮膚へのダメージを減らす工夫もされています。

さらに、モード同期や増幅技術の進歩があり、1970年代には毎年数倍という驚異的な速さで改良が進められました。

応用例

ルビーレーザーの最初の用途の1つは、距離測定でした。1964年には、回転プリズムQスイッチを備えたルビーレーザーが軍用距離計の標準となり、その10年後にはより効率的なNd:YAG距離計が製造されました。

また、ルビーレーザーは波長可変色素レーザを光学的に励起するために使われた最初のレーザーで、特に近赤外で発光する色素レーザーの励起に使用されました。

近年では、原因となるメラミンへの反応が高いレーザーであることから、シミやほくろ除去など美容用途での広がりも見せています。

残念ながら、ルビーレーザーは主に低効率と低い繰り返し周波数のために、産業ではほとんど使用されていません。しかし、ルビーレーザーの高出力ビームはダイヤモンドの赤色の幅広い吸収帯(GR1バンド)と相性が良いため、ダイヤモンドの穴加工に用いられたこともあります。

【レーザ】色素レーザ

概要

色素レーザ(ダイレーザ)は、レーザ媒質が色素を含んだ液体のレーザで、毛細血管拡張症やいちご状血管腫などを治療するために使われるレーザ機器です。皮膚の医療目的で多く用いられます。大まかなな仕組みとしては、赤色への吸収率が高い585nmの波長を用いて血管の異常を治療します。

ここでは、医療応用例をメインにその特長等を紹介します。

原理

治療の原理

色素レーザは、次のようなメカニズムで血管病変を治療します。

1.赤血球の酸化ヘモグロビンにレーザが吸収される

2.吸収されたレーザの光が熱エネルギーに変わる

3.赤血球が発熱して周囲の毛細血管を損傷させる

4.損傷した毛細血管は塞がる

5.熱で破壊された血管は正常な組織におきかえられる

この治療では、1回の治療ですべての血管を治療することはできません。そのため3~5回治療を繰り返す必要があります。

治療が有効な症状

いちご状血管腫 :未熟な毛細血管が増殖してできる赤あざ

単純性血管腫 :産まれた時にある平坦な赤あざ

毛細血管拡張症 :飲酒などで拡張した毛細血管が戻らずに起こる赤ら顔などの症状

老人性血管腫 :毛細血管が増殖しほくろのように見える腫瘍

炎症性ニキビ :顔・首・下あごなどに広範囲に広がる赤ニキビ

歴史

色素レーザという名前は、そこまで特別なことではなく、実は昔はすべてのレーザが色素レーザでした。というのは、レーザの原理がすべて同じだったからです。有色の化合物を用いていたので色素という名前が用いられていましたが、無色の化合物を含めて「 色素」 とい う言葉を用いるようになっています。

参考

【レーザ】He-Cd レーザ

概要

He-Cdレーザとは、ヘリウムとカドミウムをガスとして用いたガスレーザの一種です。紫外線(325 nm)や青色光(441.6 nm)を出力することができ、比較的安価でありながら高い出力を持つことから、科学研究や工業分野などで幅広く利用されています。

He-Cdレーザの原理は、ヘリウムガスを励起させてエネルギーを与え、そのエネルギーをカドミウム蒸気に伝えることでカドミウム原子を励起状態にします。そして、励起されたカドミウム原子が放出する光が共振器内で反射・増幅されることによって、レーザ光を発生させます。

He-Cdレーザは、波長が紫外線に近いため、顕微鏡や顕微探針、光学式デジタルディスク、蛍光分光法などの分野で利用されています。また、照明や医療機器などでも使用されており、近年ではレーザ加工分野でも活用されています。

原理

He-Cdレーザの原理は、ヘリウムとカドミウムをガスとして用いたガスレーザの一種で、以下のような過程でレーザ光を発生させます。

  1. ヘリウムガスを放電させて励起状態にすることで、ヘリウム原子にエネルギーを与えます。
  2. 励起されたヘリウム原子が、カドミウム原子と衝突してエネルギーを伝達し、カドミウム原子を励起状態にします。
  3. 励起されたカドミウム原子は、そのエネルギーを放出するために光を放出します。
  4. 光が反射鏡の間を通り、同じ波長の光と干渉することで、増幅されます。
  5. 最終的に、レーザ光が共振器から出射します。

応用

He-Cdレーザは、波長が紫外線や青色光に近いため、分光法や光学式デジタルディスク、医療機器などの分野で幅広く利用されています。また、比較的安価でありながら高い出力を持つため、研究分野や産業分野での利用が広がっています。

歴史

He-Cdレーザは、1960年代に開発されたガスレーザの一種です。当初は、光通信分野において、データ転送用の光源としての利用が期待されましたが、光ファイバーの発明によりその需要は減少しました。その後、分光法や医療機器などの分野で利用されるようになりました。

1967年、アメリカの物理学者であるW・J・アルバースハイマーは、He-Cdレーザの発光機構を研究し、レーザ光を紫外線領域まで拡張することに成功しました。その後、1970年代には、アメリカやドイツなどでHe-Cdレーザの商用化が進み、分光法や医療機器などの分野で幅広く利用されるようになりました。

1990年代以降は、He-Cdレーザの発光効率の向上や波長安定性の向上などが進み、光学式デジタルディスクや照明などの分野でも利用されるようになりました。しかし、He-Cdレーザの波長が紫外線に近いため、使用する際には適切な保護装置を備える必要があります。近年では、He-Cdレーザの代替技術として、半導体レーザや固体レーザなどが普及しています。

今後の展開

He-Cdレーザは、分光法や医療機器、光学式デジタルディスクなどの分野で幅広く利用されてきましたが、近年では代替技術の普及により、その需要は減少しています。

しかし、以下のような可能性があるとされています。

  1. 生体医療分野での利用:He-Cdレーザは、紫外線や青色光に近い波長を持ち、光散乱や吸収が少ないため、生体内部への浸透性が高いとされています。そのため、生体組織の切除や加熱、細胞の処理などに利用される可能性があります。
  2. 環境分野での利用:He-Cdレーザは、水中の微生物や有害物質の検出に利用されることがあります。さらに、He-Cdレーザを用いた光触媒によって、有害物質の分解や空気浄化が可能とされています。
  3. 研究分野での利用:He-Cdレーザは、比較的安価でありながら高い出力を持ち、幅広い波長領域をカバーすることができます。そのため、研究分野での利用が期待されています。
  4. 特殊な用途での利用:He-Cdレーザは、極低温下でも動作することができるため、量子コンピューターや量子通信などの分野で利用される可能性があります。

さいごに

He-Cdレーザは、強い紫外光を出せるため、非常に期待されたレーザでした。しかし、種類によっては毒性のあるカドミウムを使用しているため、環境に対する影響や取り扱いには注意が必要でした。また、代替技術の普及により、需要が減少しているという面もあります。今後、普及させていくには、メリットを最大限に活用できる応用先を模索する必要がありそうです。

参考

【レーザ】レーザクリーニング

概要

レーザクリーニングは、レーザ光を除去対象物に照射することによって、レーザの特長である高いエネルギー集光能力を活用して、物質の蒸発及び衝撃圧力によって、除去対象物を母材表面から剥離する、洗浄方法のことです。

この洗浄方法で一番大切なことは、レーザの強度です。除去したい領域にどれだけのエネルギーを充てるかがクリーニングの性能によります。要求される洗浄品質によりますが、レーザ強度によっては母材を損傷させてしまうこともありますので、その調整には非常に神経が必要です。

多くの場合、一度設定を決めてしまえば、レーザの再現性のため、再調整はほとんど必要なく、最適なクリーニングができます。

構成

レーザクリーニングは、レーザ照射を使用し母材のサビ、コーティング、汚れなど密度が低いものを除去するの洗浄方法です。

最も重要な構成要素は、レーザです。母材の密度や反射率等に応じて、最小限のダメージしか与えないようなレーザを選択します。波長や強度、パルス等が選択要素となります。

次に走査装置を検討します。多くの場合、ガルバノスキャナのようなデバイスを用いて高速にレーザを走査します。その走査速度やタイミング、方向等もクリーニングの性能に影響を与えます。

構造としては、手にレーザヘッドを持ってレーザ照射範囲を移動させるハンディタイプや、装置の中に組み込んでロボット等がレーザヘッドを走査するタイプもあります。

特徴

レーザクリーニングプロセスは、溶剤や水などを用いないドライ環境でのクリーニングになることが大きなメリットです。廃棄物の処理を必要とせず、非接触加工であるため、適正なレーザ照射条件を選定さえすれば、母材を傷つけずにクリーニングを行うことが可能です。

しかし、母材のダメージのリスクもあります。テスト加工を十分に行い、ダメージを最低限に抑えます。

装置のコストも高いですが、クリーニング内容によっては、十分に効果的な場合があります。

用途

  • 錆おとし・表面クリーニング
  • 印刷&包装用ローラのクリーニング
  • 表面処理の前処理
  • コーティングの除去、グリース除去、酸化膜除去、塗料除去

さいごに

レーザクリーニングは、従来の洗浄方法と全く異なるプロセスです。初期コストが高くなりがちですが、メリットが多い技術です。また、しかしランニングコストが非常に低く、ほぼ電気代だけとなっています。加工行程も少ないので専門知識がなくても扱うことができるという点での魅力もあります。

参考

【技術】自動車産業での微細レーザ溶接の応用

自動車産業において微細レーザ溶接は広範に活用されています。以下に、その主な利点と具体的な応用例をいくつか紹介します。

利点

1. 高い精度と制御性

微細レーザ溶接は非常に高い精度と制御性を持ち、微細な溶接点や接合部を作ることができます。レーザパラメータや条件の適切な設定、自動化された制御システムの導入により、一貫性のある品質と高い製品信頼性を確保し、これにより高品質な溶接が可能となり、製品の強度や耐久性を向上させることができます。

2. 高速な溶接

微細レーザ溶接は、熱エネルギーを狭い領域に集中させるため、高速な溶接を実現できます。これにより、生産性を向上が期待できます。

3. 非接触の溶接

従来の溶接方法では、溶接材料に直接触れて加熱や圧力を与える必要があり、歪みや損傷などのリスクが伴っていました。しかし、微細レーザ溶接は非接触で行われるため、被溶接材料への損傷や歪みを最小限に抑えることができます。また、微細な部品や複雑な形状の接合にも適しています。

4. マテリアルの適用範囲

微細レーザ溶接は、さまざまな材料に適用することができます。自動車産業においては、鋼材、アルミニウム合金、チタン合金などの金属材料に加えて、プラスチックや繊維強化複合材料なども溶接の対象となるため、微細レーザ溶接は非常に有効な溶接手法となります。このように、様々な材料に適用できることは大きなメリットです。

具体的な応用例

1. ボディパネルの接合

自動車のボディパネルの一部は、微細レーザ溶接によって接合されることがあります。ボディパネル同士の接合部や部品の取り付け箇所など、高い強度と美しい仕上がりが求められる場所で使用されます。

2. バッテリーパックの製造

電気自動車やハイブリッド車などのバッテリーパックの製造においても、微細レーザ溶接が活用されています。バッテリーセルや接続部の溶接に使用され、電気的および機械的に安定かつ高精度な接合を実現します。微細レーザ溶接のメリットが活かせる応用です。

3. エンジンコンポーネントの組立

自動車のエンジンコンポーネントにおいて、微細レーザ溶接は部品の組立や接合に使用されます。エンジンのシリンダーヘッドやバルブ、燃料噴射システムの部品など、高い精度と強度が求められる箇所で利用されます。

4. インテリア部品の製造

自動車のインテリア部品にも、微細レーザ溶接が使用されることがあります。ダッシュボードやシートの組立、デザイン要素の取り付けなど、微細な接合や装飾が必要な箇所で活用されます。

まとめ

微細レーザ溶接は、自動車産業において高品質な溶接を実現し、製品の性能や耐久性を向上させる重要な技術です。これにより、接合品質の向上、車体の強度や耐久性の向上、電子部品やエンジン部品の信頼性の向上など、さまざまな利点をもたらします。

【技術】EUV

概要

EUV(Extreme Ultraviolet)とは、極端紫外線を利用した光学技術の一つで、その波長が 13.5nm と非常に短い光のことを指します。EUV 技術は、半導体製造、リソグラフィ(微細加工技術)、顕微鏡技術、プラズマ研究など、さまざまな科学技術分野で重要な役割を果たしています。しかしながら、その技術的難易度は非常に高く、EUV 露光に必要な装置・部材を供給できる企業は非常に少ないのが現状です。

EUV技術の重要性

EUV技術は、半導体製造の微細加工プロセスにおいて特に重要です。半導体製造における露光工程では、シリコンウェハー上の狭い範囲に複雑な回路を書き込む必要があります。加えて、近年の技術革新に伴い、半導体に書き込む回路が複雑さは増し、同時にチップサイズの小型化のニーズも高まっており、従来よりもさらに短い波長の光源が求められています。EUV リソグラフィを用いることで、このような極めて微細なパターンを半導体ウェハーに書き込むことが可能になります。

歴史

これまで半導体業界では、露光装置の光源を波長の短いものへと変更し続けてきました。過去には、g(水銀)線(波長436nm)、ArF(アルゴン・フッ素)線(波長193nm)など、様々な物質を光源とした露光技術が導入されてきました。その最終形が EUV です。EUV を用いた露光は、7nm 以降の微細回路パターンをシリコンウェーハ上に転写するための技術として、2019年に台湾のTSMCによって初めて量産投入されました。

EUV露光の難しさ

波長が 13.5nm と極端に短い EUV 光を、従来のレンズ方式の露光装置で転写しようとすると、レンズや空気中の成分で吸収されてしまい、ウェーハ上のフォトレジストまで届かなくなってしまいます。このため、EUV 露光では光が通る経路を真空にして、なおかつ照明光学系にミラーを導入し、レンズはパターン縮小に用いる投影光学系に限定して、吸収を最小化する必要があります。

EUVの光源

EUV リソグラフィには、極端紫外線を生成する光源が必要です。これには、プラズマ放電などを使用して EUV 光を生成する装置が使用されます。

さいごに

EUV 技術は、半導体製造だけでなく、X線リソグラフィ、顕微鏡技術、プラズマ研究、リソグラフィの基礎研究など、さまざまな分野で利用されています。しかし、EUV 技術は、微細加工と高性能デバイスの製造において非常に重要であり、半導体業界などの先端技術分野で広く使用されています。新しい製品の開発や性能向上に期待が高まります。

# 参考
需要が増えている半導体製造へのEUVの利用と日本の現状
半導体の微細化に不可欠なEUV露光技術の現状とこれから

【レーザ】微細レーザー溶接の宇宙産業における応用

はじめに

近年、部品の微細化が進展するなどの影響で、その製造工程にも、微細化、高精度化が進められてきています。製造技術の重要な一つである溶接にもその流れがあります。

溶接の微細化が進む中で、レーザを利用した微細で高精度な溶接が注目されています。

この微細レーザー溶接は、宇宙産業においてさまざまな利用が期待されています。

以下に、その例をいくつかご紹介します。

微細レーザ溶接の応用例

1. 衛星の製造と修理
衛星は宇宙において重要な役割を果たしていますが、運用中に損傷や故障が発生することもあります。微細レーザー溶接は、衛星の部品や構造体の修理に役立ちます。高い制御性を持つレーザーによって、必要な箇所の微細な溶接や接合が可能となり、衛星の修理を効率的かつ正確に行うことができます。

2. 宇宙船や宇宙ステーションの製造
宇宙船や宇宙ステーションの製造においても、微細レーザー溶接は有用です。微細なレーザービームを使用することで、部品の精密な組み立てや接合が可能となります。これにより、軽量化や強度向上、構造の安定性の向上などが実現できます。

3. マイクロサットやナノサットの製造
マイクロサットやナノサットは、小型でコンパクトな衛星であり、宇宙分野において注目されています。微細レーザー溶接は、これらの小型衛星の製造に適しています。微細なレーザー溶接によって、小さな部品や配線の接合を高精度かつ信頼性の高い方法で行うことができます。

4. 光ファイバーの接続
宇宙分野では、高速で信頼性の高い通信が必要となります。微細レーザー溶接は、光ファイバーの接続に利用されます。微細な溶接によって、光ファイバー同士や光ファイバーと光ファイバー配線の接続を高い精度で行うことができます。

さいごに

以上の応用例は、微細レーザー溶接が宇宙分野での利用において有望な技術である一部の例です。微細レーザー溶接の高い制御性と精密性は、宇宙環境下での要件を満たすために重要です。

微細レーザ溶接の宇宙産業への応用は、まだまだ始まったばかりです。将来的には、より高度な宇宙ミッションや宇宙探査において微細レーザー溶接がますます重要な役割を果たすことが期待されています。

【レーザ】UVレーザ

概要

UVレーザはその波長が基本波長レーザの1/3であるレーザです。その波長が紫外線と同じ領域のため「UVレーザ」と呼ばれています。

構成

1,064nmの基本波長を非線形結晶に通して変換された532nmの波長に基本波長を合わせ、さらにもう1つの単結晶を通過させることで355nmの波長に変換します。

特徴

先述したように、UVレーザの光の波長は基本波長レーザ(1,064nm)の約1/3(355nm)です。この波長は、紫外線領域であることから「UVレーザ」と呼ばれます。

各素材に対して吸収率が非常に高く、熱ダメージを与えない印字や加工が可能なため、高い発色性や製品へのダメージを抑えた加工が求められる用途に最適です。つまり、必要以上にパワーを上げることなく、視認性の高いマーキングが可能となります。金、銀、銅をはじめとする反射率の高い材質に対しても吸収率が高く、熱ダメージを与えません。そのため煤やバリを抑制し、表面を破壊しない耐腐食性の高い印字・加工が可能です。基本波長レーザでは、封止樹脂部を透過して内部にダメージを与える懸念がありますが、UVレーザなら、高い吸収率で内部への透過を抑制することができます。

また、UVレーザは波長が短いため、レーザをレンズで集光した際に集光径をより小さくでき、微細な加工が可能です。一般的にレーザはレンズで集光すると、レーザの波長程度まで絞ることができます。したがって波長の短いレーザほど、微細な加工が可能となります。

一般に光のエネルギーはレーザの波長に反比例します。波長が短いという特徴はエネルギーの観点からも有益です。つまり、波長の短いUVレーザは波長の長いレーザに比べて、光エネルギーが高くなります。そのため、高効率な加工が可能となります。特に樹脂の有機結合を切断する点で有利であり、樹脂の高品質加工には、UV領域のレーザが多用されます。

応用例

UVレーザは、その波長の短さから光のエネルギーが高いという特徴があります。そのため、世界で最も硬い物質で知られるダイヤモンドも、UVレーザのエネルギーを直接吸収して加工されます。

またサファイアはYAGレーザではレーザー光が透過してしまい加工ができませんが、UVレーザでは光のエネルギーが高いため、レンズで集光することにより吸収が起こり、加工することが可能となります。

CO2レーザでも格子振動による吸収が起こりサファイアの加工は可能ですが、熱的な加工となるため、クラックや熱影響層の大きな加工となります。

参考

1. UVレーザーマーカー | 基礎知識 | マーキング学習塾 | キーエンス

2. UVレーザー加工|Orbray株式会社

3. レーザー加工機の種類やレーザーの分類について解説