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【レーザ】フルエンス

概要

フルエンスとは、レーザー光が物質表面に照射される際のエネルギー密度を表す物理量のことを指します。フルエンスは、ワット毎平方センチメートル(W/cm^2)やジュール毎平方センチメートル(J/cm^2)の単位で表されます。


つまり、この値が大きいほど、レーザー光のエネルギーはより集約されていると言えます。

高いレーザーフルエンスの照射により、物質表面に熱の発生程度や、化学反応が促進程度を制御できます。例えば、材料を加工する場合は高いレーザーフルエンスが必要ですが、表面を微細に加工する場合は低いレーザーフルエンスが適しています。このため、レーザー加工やレーザー処理の際には、適切なレーザーフルエンスの設定が重要となります。

仕組み(計算方法)

先述したようにレーザーフルエンスは、単位面積あたりに供給されるエネルギーの尺度を表す値です。そのため、レーザーの出力(W)を照射される領域の面積(cm^2)で徐算することで比較的簡単に計算することが出来ます。

レーザーフルエンス = (レーザーの出力) / (照射される領域の面積) 

応用例

フルエンスは様々な分野において利用されていますが、以下にその具体例をいくつか示します。

  1. レーザー加工: 金属、プラスチック、ガラスなどの材料を切断、溶接、穴あけする際にはレーザーを利用します。適切なレーザーフルエンスを選択することで、材料を効果的に加工することができます。
  2. 医療: レーザーは、眼科手術、皮膚治療、歯科治療などの医療分野で広く使用されています。レーザーフルエンスの制御により、照射されるエネルギーを調整し、治療効果を最大限に引き出すことができます。
  3. 材料処理: レーザーは、表面改質、熱処理、マーキングなどの材料処理にも使用されます。適切なレーザーフルエンスを調整することで、材料の特性を改善したり、特定の機能を付加したりすることができます。
  4. 科学研究: 物質の性質や反応の解明において、レーザーを使用した実験が行われます。例えば、レーザー蛍光法やレーザー分光法などがあり、これらの実験において適切なレーザーフルエンスの設定が重要です。
  5. 通信: 光ファイバーや光通信システムでは、レーザーが情報の送受信に使用されます。レーザーフルエンスの制御により、信号の伝送距離や品質を向上させることが可能です。

参考文献

  1. エネルギー密度/フルエンス
  2. レーザーフルエンス計算のクイックガイド

【技術】レーザーアニール

概要

レーザーアニール(アニーリング)は、レーザー光を用いて半導体や薄膜の表面を加熱し、結晶構造を整えたり、不純物を活性化させたりするプロセスです。このプロセスは、集積回路やディスプレイなどの電子デバイスの製造において重要な役割を果たしています。
レーザーアニールは、通常、赤外線や可視光のレーザー光を使用します。光は、物質の表面に照射されると吸収され、表面近くで急速に加熱されます。この加熱により、物質の結晶構造が再結晶化されたり、不純物が活性化されたりします。結果として、物質の電気的・光学的特性が改善され、デバイスの性能が向上します。

特徴

以下に、レーザーアニールの主な特徴を示します。

  1. 高い局所加熱性: レーザーアニールは、レーザー光を使用するため、非常に高い局所加熱性を持ちます。これにより、特定の領域を精密に加熱することができます。この高い局所加熱性は、微細な構造や領域の処理に適しています。
  2. 高速処理: レーザーアニールは、光の照射によって瞬時に加熱されるため、非常に高速な処理が可能です。これにより、大量のデバイスや基板を短時間で処理することができます。
  3. 非接触処理: レーザーアニールは非接触の加熱方法であり、物質表面に物理的な接触を必要としません。このため、表面の損傷や汚染のリスクが低く、微細な構造を傷つけることなく処理することができます。
  4. 制御可能な加熱プロファイル: レーザーアニールでは、レーザービームのパワー、パルス幅、照射時間などのパラメータを細かく制御することができます。これにより、物質の加熱プロファイルを精密に調整し、所望の結晶構造や物性を実現することができます。
  5. 選択的な加熱: レーザーアニールは、特定の領域のみを加熱することができます。これにより、複雑なパターンや構造を持つ基板やデバイスの処理が容易になります。
  6. エネルギー効率の高さ: レーザーアニールは、高い光エネルギーを利用するため、エネルギー効率が高くなります。これにより、省エネルギーな処理が可能となります。

原理

レーザーアニールの主な原理は、レーザー光が物質表面に照射されることで、物質の結晶構造や化学的性質が変化するというものです。これは、物質が光を吸収し、そのエネルギーが物質内部に伝わり、結晶構造や不純物の配置に影響を与えるためです。

具体的な原理を以下に示します。

  1. 光吸収: レーザー光が物質表面に照射されると、物質は光エネルギーを吸収します。この際、物質の電子が励起され、エネルギー準位が上昇します。
  2. 熱拡散: 吸収された光エネルギーは、物質内部に伝わります。この過程で、エネルギーが熱に変換され、物質が加熱されます。
  3. 結晶構造の再結晶化: 物質が加熱されると、結晶構造が再結晶化されることがあります。これにより、不純物や欠陥が修復され、物質の結晶性が改善されます。特に、シリコンなどの半導体材料では、結晶構造の整合性がデバイス性能に直接影響します。
  4. 不純物の活性化: レーザーアニールは、不純物の活性化にも使用されます。物質にドーピングされた不純物は、レーザー光によって加熱され、原子が活性化されます。これにより、半導体デバイスの電気的特性が制御され、デバイスの性能が向上します。

応用例

レーザーアニールは、半導体製造やディスプレイ製造などの電子デバイス産業で広く使用されています。以下はその主な応用例です。

  1. シリコン薄膜トランジスタ(TFT)製造:
    TFT液晶ディスプレイ(LCD)や有機ELディスプレイ(OLED)などのディスプレイパネルでは、シリコン薄膜トランジスタが使用されます。レーザーアニールは、シリコン薄膜の再結晶化や結晶構造の改善に使用されます。これにより、TFTのチャネルモビリティや転送特性が向上し、ディスプレイの画質や応答速度が向上します。
  2. 集積回路(IC)製造:
    半導体製造において、レーザーアニールは不純物のドーピングや結晶成長のプロセスに使用されます。レーザーアニールによって、半導体材料(例えば、シリコン)の結晶構造が改善され、不純物が活性化されます。これにより、トランジスタやダイオードなどのICの性能が向上します。
  3. 半導体レーザー製造:
    半導体レーザーの製造プロセスにおいても、レーザーアニールが重要な役割を果たします。レーザーアニールは、半導体レーザーの活性層や格子定数の調整に使用されます。これにより、レーザーの発光効率や波長特性が向上し、高性能なレーザーデバイスが実現されます。
  4. 太陽電池製造:
    薄膜太陽電池などの太陽電池製造においても、レーザーアニールが使用されます。レーザーアニールは、薄膜の再結晶化や不純物の活性化に使用されます。これにより、太陽電池の光吸収層や電極の特性が向上し、太陽光のエネルギーをより効率的に変換することが可能となります。

参考文献

  1. レーザーアニール(アニーリング(laser (beam)annealing)とは
  2. レーザーアニーリング技術について知っておくべきことすべて

【レーザ】バッテリー溶接(ビーム成形)

概要

EV市場はバッテリー最大の量産市場であり、バッテリー技術および製造効率の進歩を推進しています。バッテリー技術の発展によりもたらされるエネルギー密度、充電サイクル、信頼性の向上などは、民生用自動車のみならず、配送トラックや公共交通機関などの商用車市場にも大きな影響を与えます。バッテリー溶接技術の進歩により、EVとICE車(内燃機関車)の価格は、数年のうちに同等になるとも予想されています。

レーザ溶接の課題

レーザ溶接には、他の製造プロセスとも同様に、バッテリー溶接にもメーカーを悩ませる複数の課題が存在します。
その一つに部品間の大きなばらつきがあります。これは、製品設計の進化とサプライチェーンにおける変化が、溶接部品の品質と再現可能性に影響を与えるためです。

銅とアルミニウムはバッテリー溶接においてよく用いられる金属です。これらの金属は、鋼鉄やステンレス鋼、ニッケルよりも溶接の難易度は上がりますが、どちらも熱伝導率が高く、液粘度が低く、溶融溶接池においてガスと結合する親和性を有します。

銅とアルミニウムの溶接の際は、隣接部品の過熱を防ぐために、非常に高速で熱入力の低い溶接プロセスが要求されます。この溶接プロセスについて、構造接続の場合は、溶接部の強度を可能な限り高くする必要があります。しかし、重量が増加するとエネルギー密度が低下してしまうため、溶接プロセスの対象となる接合領域を大きくすることは避ける必要があります。

電気接続については、電流が流れるように溶接領域を十分に広くしつつ、大きな溶融堆積によって生じるひずみを抑える必要があります。このような課題に加え、サイクル速度や品質に対する要件が加わります。
このように、レーザ溶接エンジニアに求められる技術は非常に高いものとなります。

シングルモードのビーム成形

シングルモードのファイバレーザは、厳しい溶接条件に対する有効な解決策であるとされています。

シングルモードビームは、その小さなスポット径に高い出力密度によって、深い溶け込み溶接を極めて高速に実行することが可能で、さらに熱入力がほとんどなく、ひずみも小さいことが特徴です。また、シングルモードのファイバレーザは、銅とアルミニウムのキーホール溶接時の反射率にも耐えうる強度を有するため、非常に小さな構造の溶接から厚みのある電極溶接まで、多用途で有効なバッテリー加工手段として評価されています。

ビーム成形とシングルモードのビーム品質を単一のレーザ源に組み合わせる方式も考案されています。シングルモードのファイバからのレーザ出力分布を、最大40μmのリングファイバまで動的に変更する技術も開発されています。
銅の溶接時は、最高強度のシングルモードビーム形状により、キーホール溶接モードにて、最も深い溶け込みと高速な溶接速度を得ることができます。
アルミニウム接合部の溶接に関しては、より大きなリングビーム形状が加工時の安定した溶接池とキーホールの維持に有効となります。シングルモードビームの3倍の直径を有する、この40μmのリングビームは、その大きな直径にも関わらず、強度が1kWと高く、アルミニウムの中にガス空洞を形成することができます。

参考文献

ティム・モリス、ブライアン・ヴィクター, バッテリー溶接のためのレー ザビーム成形, Laser Focus World Japan, pp18-21

【レーザ】マイクロチップレーザ

概要

マイクロチップレーザは、非常に小型のレーザであり、高密度の情報処理やセンシングなどに広く使用されます。通常、固体レーザまたは半導体レーザであり、非常に短いパルス幅を生成することができます。これにより、高密度の情報処理に適しています。

マイクロチップレーザの開発には、レーザ加工技術、半導体技術、光学技術など、多くの技術分野が関わっています。現在、マイクロチップレーザは、データストレージ、通信、センサー、生物医学分野で使用されています。

マイクロチップレーザは、1980年代初頭に最初に開発され、その後、センサーや生物医学分野など、他の分野でも使用されるようになりました。マイクロチップレーザの特徴は、小型であることと、非常に短いパルス幅を生成できることです。これにより、高速で正確な光パルスを生成することができ、情報処理やセンシングなど、多くの分野で重要な役割を果たしています。

原理

マイクロチップレーザは、固体レーザまたは半導体レーザの一種で、その原理は一般的なレーザ発振に基づいています。レーザ発振は、活性媒体(レーザ媒体)に光を注入し、光の共鳴を利用して光を増幅し、最終的にレーザ光を発生させる過程です。

マイクロチップレーザの場合、通常、レーザ媒体は非常に小型化されており、微小なマイクロチップの上に配置されています。レーザ媒体は、通常、固体レーザの場合にはNd:YAG(ネオジウムドープイットリウムアルミニウムガーネット)やNd:YVO4(ネオジウムドープイットリウムバナジウム酸化物)などが使用され、半導体レーザの場合には、ガリウムアルセニド(GaAs)やガリウム砒素化合物(GaInAs)などが使用されます。

レーザ発振には、媒体に光を注入することが必要です。これは、通常、光ファイバーやレーザーダイオードなどの光源を使用して行われます。光源から出力された光は、レンズやミラーなどの光学素子によってレーザ媒体に注入されます。レーザ媒体内の光は共鳴し、媒体内で反射され、増幅され、最終的にレーザー光が発生します。

特長

マイクロチップレーザの特長には、以下のようなものがあります。

  1. 小型化: マイクロチップレーザは非常に小型であり、一般的に数mmから数cm程度のサイズです。これは、半導体技術を使用して製造されるためで、従来のレーザよりもはるかにコンパクトであることが特徴です。
  2. 高出力: マイクロチップレーザは非常に高い出力を発揮することができます。このため、レーザ加工やレーザ治療など、高出力が必要な分野で広く使用されています。
  3. 高効率: マイクロチップレーザは、効率的に光を発生させることができます。また、省エネルギーであるため、環境に優しいエネルギー源として注目されています。
  4. 短いパルス幅: マイクロチップレーザは、短いパルス幅を生成することができます。これは、短時間の間に高出力の光を発生させることができるため、レーザ加工やレーザ治療など、精密な光学的操作が必要な分野で広く使用されています。
  5. 高い信頼性: マイクロチップレーザは、半導体技術を使用して製造されるため、信頼性が高く、長期間安定した性能を維持することができます。
  6. 多様な波長: マイクロチップレーザは、様々な波長を発生することができます。これにより、幅広い応用分野に対応することができます。
  7. 安価: マイクロチップレーザは、半導体技術を使用して製造されるため、従来のレーザに比べて安価であることが特徴です。これは、レーザ加工や光通信など、大量生産が必要な分野で広く使用される理由の一つです。

以上のような特徴を備えたマイクロチップレーザは、幅広い応用分野で使用されています。

歴史

マイクロチップレーザの歴史は、1960年代に固体レーザ技術が発展したことに始まります。当時、最初のレーザは、ルビーレーザやNd:YAGレーザのような固体レーザでしたが、これらのレーザは非常に大きく、高価でした。その後、1970年代には半導体レーザ技術が発展し、より小型かつコスト効率が高いレーザを作成することができるようになりました。

1990年代以降、マイクロチップレーザの開発が進み、研究者たちはさまざまなレーザ媒体を使用して、より小型で高性能なレーザを作成する方法を模索しました。特に、Nd:YVO4を使用したレーザは、高出力、高効率、高信頼性、短いパルス幅などの特徴を備えていたため、広く使用されるようになりました。

2000年代には、マイクロチップレーザは、多様な応用分野で使用されるようになりました。たとえば、医療分野では、マイクロチップレーザを使用して、レーザ治療や光凝固療法などが行われています。工業分野では、マイクロチップレーザを使用して、レーザ加工、マーキング、溶接などが行われています。また、マイクロチップレーザは、光学通信、センシング、バイオテクノロジー、量子情報処理などの分野でも使用されています。

参考

マイクロチップレーザ

マイクロチップレーザー

高出力マイクロチップレーザー

【レーザ】ファイバーレーザ

概要

現在、様々なレーザーが開発、利用されていますが、特に近年の利用が拡大しているのは、ファイバーレーザーではないでしょうか。

ファイバーレーザーとは、希土類を添加した光ファイバーを媒質に用いた固体レーザーです。高出力なCW(連続発振)と低出力なパルス発振のタイプがあります。


光ファイバーは、ガラスや樹脂など透明な誘電体でできており、全反射により光が伝搬していく過程で増幅されます。安定的に光が伝搬されるため、高効率が得られる利点があります。

板金溶接や切断、マーキングなどに利用されます。近年は、波長変換や短パルス化により微細加工への応用も進んでいます。

大出力レーザーでは、100kW以上のものも実用化されています。

原理

ファイバーレーザーでは、通常のクラッド内部に希土類(Yb, Nd, Er, Er:Yb 等)をドープしたコアで形成されたした光ファイバーを使用します。励起光としてLDが使われることが多いです。
励起光は、全反射しながらファイバー内を進んでいきます。その過程で中央のコアで反転分布が起きレーザーが発生します。励起光はコアで減衰しますが、レーザー光はコアの中を全反射しながら励起、増幅を繰り返すことになります。発振される波長は、ドープされる希土類によって異なります。このように、光ファイバそのものが共振器として動作します。


比較的低出力のレーザーには、シングルモードファイバーを、高出力のレーザーにはマルチモードファイバーを利用します。

特徴

  • 波長選択性
    コアにドープされる希土類元素による出力波長の選択(例:Yb:1030nm~1100nm Er:1500nm)
  • 高安定性
    光ファイバー中の反射・増幅でレーザー発振するので、低いメンテナンスコストで安定した出力
  • 高効率
    変換効率が高い(~30%)

応用例

加工の観点から、以下のような幅広いアプリケーションで使用されています。

  • 溶接・切断
  • マーキング
  • 微細加工
  • 医療・ライフサイエンス(レーザーメス等)

歴史

最初のファイバーレーザーは、Snitzerにより開発されたと言われています。フラッシュランプに巻かれたファイバーによりレーザー発振を実現しました。

1980 年代後半には、低損失なガラスファイバーが開発され、光信号をそのまま増幅できるようになり、レーザー媒質としての利用が進みました。また、励起光源として使用するLD の普及と高性能化と共に光ファイバーのレーザー増幅器としての研究開発が急速に進みました。

このようにレーザーの中でも比較的新しい部類に入りますが、近年は、その利用範囲が急拡大しています。

参照

ファイバーレーザーとは – ケイエルブイ

ファイバーレーザーの特徴について – UW JAPAN株式会社
ファイバーレーザの歴史 | オプティペディア – Produced by 光響

【レーザ】ディスクレーザ

概要

ディスクレーザは、固体レーザでありながら独特の冷却法により、レーザビームに与える光学的な歪みは最小となり、「熱レンズ効果」が大幅に低減されるレーザです。

原理

ディスクレーザは、固体レーザのLD励起固体レーザの一種で、円盤状のレーザ媒質を使用して光を発生させる点が大きな特徴です。

以下に、ディスクレーザーの原理をまとめます。

  • レーザ媒質の選択
    ディスクレーザでは、レーザ媒質として水晶体やセラミックスなどの固体を用います。レーザ媒質は、通常Nd:YAG、Nd:YVO4、Nd:glass、Er:YAG、Cr:YAGなどが用いられます。
  • ポンピング
    ディスクレーザでは、レーザ媒質に外部からポンプ光を照射して、レーザ媒質内に電子を励起することでレーザ発振を起こす。ポンプ光には、フラッシュランプ、ダイオード、光ファイバーなどが使われる。
  • 光共振器
    レーザ媒質を光共振器の中に配置し、光が往復するようにすることでレーザ発振を起こす。ディスクレーザでは、円盤状のレーザ媒質を平行な2枚の鏡に挟んで光共振器を形成する。
  • 高出力レーザー発振
    ポンプ光によってレーザ媒質内の電子が励起されると、励起された電子が放出する光子が、光共振器内で他の励起された電子と衝突して更に発光が起こります。これによってレーザ光が増幅され、高出力レーザが発生する。

以上が、ディスクレーザの原理です。

特長

ディスクレーザは、非常に高出力で、比較的小型であり、高い効率でレーザ光を生成することができます。このディスクレーザには、以下のような特長があります。

  1. 高出力: ディスクレーザは、非常に高出力であり、光ファイバー通信、医療、自動車業界など、様々な分野で使用されています。
  2. 高効率: ディスクレーザは、光の反射率が非常に高く、光の損失を最小限に抑えることができます。これにより、ディスクレーザは、効率的なレーザー発振を実現することができます。
  3. 短いパルス幅: ディスクレーザは、非常に短いパルス幅でレーザー光を生成することができます。これは、医療用レーザや材料加工用レーザなど、高精度な作業に必要な要件である場合があります。
  4. 冷却: ディスクレーザは、レーザ発振によって発生する熱を効果的に放散するために、高度に冷却されています。これにより、ディスクレーザは、安定したレーザ発振を実現することができます。
  5. 多様な波長: ディスクレーザは、波長変換により、多様な波長のレーザ光を発生することができます。これにより、ディスクレーザは、様々な用途に使用することができます。
  6. 小型化: ディスクレーザは、比較的小型であり、スペースの制限がある分野でも使用することができます。

歴史

ディスクレーザは、現代のレーザ技術における重要な役割を果たすレーザの一種であり、1993年にシュツットガルト大学のDr. Adolf Giesenらによってディスクレーザの実証がなされて以来、シングルディスクによる出力はCW発振で4kWまで向上し、今日では材料加工などに一般的に使われるようになってきました。
初期のディスクレーザは、比較的低出力であり、科学研究に主に使用されていましたが、その後、技術が進歩し、高出力の産業用レーザや医療用レーザにも使用されるようになりました。ディスクレーザの応用範囲は、溶接や切断、加工、医療用途など多岐にわたります。

現在、ディスクレーザの研究は、出力の向上、安定性の向上、コンパクトな設計の開発など、様々な方向に向けられています。また、ディスクレーザは、より多様な材料を処理することができるようになるなど、新しい応用分野が開発される可能性があります。

応用

ディスクレーザは、その高出力と比較的小型化された設計から、現代のレーザ応用において重要な役割を果たしています。今後の可能性としては、以下のようなものがあります。

  1. 新しい材料の開発:ディスクレーザの性能を向上させるためには、レーザー材料の改良が必要です。新しい材料の開発により、より高出力かつ効率的なディスクレーザが実現できる可能性があります。
  2. より高出力のレーザの開発:ディスクレーザの出力は既に非常に高く、産業や医療、科学などの様々な分野で利用されていますが、さらに高出力のレーザが必要な場合もあります。ディスクレーザの設計の改善や新しいレーザ材料の開発によって、より高出力のディスクレーザが実現できる可能性があります。
  3. 新しい応用分野の開拓:ディスクレーザは、現代の科学や工業技術において幅広く応用されていますが、まだまだ新しい応用分野が開拓される余地があります。たとえば、医療分野においては、ディスクレーザを用いたレーザ手術やレーザ治療の新しい技術が開発される可能性があります。
  4. 省エネルギー化:ディスクレーザは、その高出力にもかかわらず、比較的省エネルギーで動作することができます。今後は、より省エネルギーかつ環境にやさしいディスクレーザの開発が求められることが予想されます。

参考

ディスクレーザーによる加工

ディスクレーザー

【レーザ】ルビーレーザ

概要

ルビーレーザーは、合成ルビー結晶を利得媒質とする固体レーザーの一種です。

1960年5月16日、ヒューズ研究所のTheodore H. Maimanによって作られたルビーレーザーが最初の実用化されたレーザーです。

ルビーレーザーは、波長694.3nmのコヒーレントな深い赤色の可視光線のパルス発振のレーザーで、一般的なパルス長は、1ミリ秒のオーダーとなっています。

構成

ルビーレーザーは、多くの場合、ロッド状のルビーを媒質として構成されています。合成ルビー、すなわちアルミナ骨格 (Al2O3) の Al 原子のうち0.01~0.5%程度が発光原子であるクロムに置換されたものをレーザ媒質として用います。

反転増幅をさせるために、キセノンフラッシュランプ等で非常に高いエネルギーで励起します。このルビーロッドは共振器である 2 枚の鏡の間に置かれ、ルビーの蛍光によって生じる光を発振させ、誘導放出させられます。

ルビーは可視光領域の光を発する数少ない固体レーザーで、694.3nmで発振し、0.53nmという非常に狭い線幅であるというのが特徴です。

ルビーレーザーは他の材料に比べてパルス幅を長くすることができ、非常に高いエネルギーでの励起が可能です。また、非常に広い吸収プロファイルを持つ一方で、その変換効率は他の媒体に比べて非常に低いというのが欠点となっています。

また、近年美容用途で用いられる場合には、Qスイッチをつけて短時間だけ照射することで、皮膚へのダメージを減らす工夫もされています。

さらに、モード同期や増幅技術の進歩があり、1970年代には毎年数倍という驚異的な速さで改良が進められました。

応用例

ルビーレーザーの最初の用途の1つは、距離測定でした。1964年には、回転プリズムQスイッチを備えたルビーレーザーが軍用距離計の標準となり、その10年後にはより効率的なNd:YAG距離計が製造されました。

また、ルビーレーザーは波長可変色素レーザを光学的に励起するために使われた最初のレーザーで、特に近赤外で発光する色素レーザーの励起に使用されました。

近年では、原因となるメラミンへの反応が高いレーザーであることから、シミやほくろ除去など美容用途での広がりも見せています。

残念ながら、ルビーレーザーは主に低効率と低い繰り返し周波数のために、産業ではほとんど使用されていません。しかし、ルビーレーザーの高出力ビームはダイヤモンドの赤色の幅広い吸収帯(GR1バンド)と相性が良いため、ダイヤモンドの穴加工に用いられたこともあります。

【レーザ】色素レーザ

概要

色素レーザ(ダイレーザ)は、レーザ媒質が色素を含んだ液体のレーザで、毛細血管拡張症やいちご状血管腫などを治療するために使われるレーザ機器です。皮膚の医療目的で多く用いられます。大まかなな仕組みとしては、赤色への吸収率が高い585nmの波長を用いて血管の異常を治療します。

ここでは、医療応用例をメインにその特長等を紹介します。

原理

治療の原理

色素レーザは、次のようなメカニズムで血管病変を治療します。

1.赤血球の酸化ヘモグロビンにレーザが吸収される

2.吸収されたレーザの光が熱エネルギーに変わる

3.赤血球が発熱して周囲の毛細血管を損傷させる

4.損傷した毛細血管は塞がる

5.熱で破壊された血管は正常な組織におきかえられる

この治療では、1回の治療ですべての血管を治療することはできません。そのため3~5回治療を繰り返す必要があります。

治療が有効な症状

いちご状血管腫 :未熟な毛細血管が増殖してできる赤あざ

単純性血管腫 :産まれた時にある平坦な赤あざ

毛細血管拡張症 :飲酒などで拡張した毛細血管が戻らずに起こる赤ら顔などの症状

老人性血管腫 :毛細血管が増殖しほくろのように見える腫瘍

炎症性ニキビ :顔・首・下あごなどに広範囲に広がる赤ニキビ

歴史

色素レーザという名前は、そこまで特別なことではなく、実は昔はすべてのレーザが色素レーザでした。というのは、レーザの原理がすべて同じだったからです。有色の化合物を用いていたので色素という名前が用いられていましたが、無色の化合物を含めて「 色素」 とい う言葉を用いるようになっています。

参考

【レーザ】He-Cd レーザ

概要

He-Cdレーザとは、ヘリウムとカドミウムをガスとして用いたガスレーザの一種です。紫外線(325 nm)や青色光(441.6 nm)を出力することができ、比較的安価でありながら高い出力を持つことから、科学研究や工業分野などで幅広く利用されています。

He-Cdレーザの原理は、ヘリウムガスを励起させてエネルギーを与え、そのエネルギーをカドミウム蒸気に伝えることでカドミウム原子を励起状態にします。そして、励起されたカドミウム原子が放出する光が共振器内で反射・増幅されることによって、レーザ光を発生させます。

He-Cdレーザは、波長が紫外線に近いため、顕微鏡や顕微探針、光学式デジタルディスク、蛍光分光法などの分野で利用されています。また、照明や医療機器などでも使用されており、近年ではレーザ加工分野でも活用されています。

原理

He-Cdレーザの原理は、ヘリウムとカドミウムをガスとして用いたガスレーザの一種で、以下のような過程でレーザ光を発生させます。

  1. ヘリウムガスを放電させて励起状態にすることで、ヘリウム原子にエネルギーを与えます。
  2. 励起されたヘリウム原子が、カドミウム原子と衝突してエネルギーを伝達し、カドミウム原子を励起状態にします。
  3. 励起されたカドミウム原子は、そのエネルギーを放出するために光を放出します。
  4. 光が反射鏡の間を通り、同じ波長の光と干渉することで、増幅されます。
  5. 最終的に、レーザ光が共振器から出射します。

応用

He-Cdレーザは、波長が紫外線や青色光に近いため、分光法や光学式デジタルディスク、医療機器などの分野で幅広く利用されています。また、比較的安価でありながら高い出力を持つため、研究分野や産業分野での利用が広がっています。

歴史

He-Cdレーザは、1960年代に開発されたガスレーザの一種です。当初は、光通信分野において、データ転送用の光源としての利用が期待されましたが、光ファイバーの発明によりその需要は減少しました。その後、分光法や医療機器などの分野で利用されるようになりました。

1967年、アメリカの物理学者であるW・J・アルバースハイマーは、He-Cdレーザの発光機構を研究し、レーザ光を紫外線領域まで拡張することに成功しました。その後、1970年代には、アメリカやドイツなどでHe-Cdレーザの商用化が進み、分光法や医療機器などの分野で幅広く利用されるようになりました。

1990年代以降は、He-Cdレーザの発光効率の向上や波長安定性の向上などが進み、光学式デジタルディスクや照明などの分野でも利用されるようになりました。しかし、He-Cdレーザの波長が紫外線に近いため、使用する際には適切な保護装置を備える必要があります。近年では、He-Cdレーザの代替技術として、半導体レーザや固体レーザなどが普及しています。

今後の展開

He-Cdレーザは、分光法や医療機器、光学式デジタルディスクなどの分野で幅広く利用されてきましたが、近年では代替技術の普及により、その需要は減少しています。

しかし、以下のような可能性があるとされています。

  1. 生体医療分野での利用:He-Cdレーザは、紫外線や青色光に近い波長を持ち、光散乱や吸収が少ないため、生体内部への浸透性が高いとされています。そのため、生体組織の切除や加熱、細胞の処理などに利用される可能性があります。
  2. 環境分野での利用:He-Cdレーザは、水中の微生物や有害物質の検出に利用されることがあります。さらに、He-Cdレーザを用いた光触媒によって、有害物質の分解や空気浄化が可能とされています。
  3. 研究分野での利用:He-Cdレーザは、比較的安価でありながら高い出力を持ち、幅広い波長領域をカバーすることができます。そのため、研究分野での利用が期待されています。
  4. 特殊な用途での利用:He-Cdレーザは、極低温下でも動作することができるため、量子コンピューターや量子通信などの分野で利用される可能性があります。

さいごに

He-Cdレーザは、強い紫外光を出せるため、非常に期待されたレーザでした。しかし、種類によっては毒性のあるカドミウムを使用しているため、環境に対する影響や取り扱いには注意が必要でした。また、代替技術の普及により、需要が減少しているという面もあります。今後、普及させていくには、メリットを最大限に活用できる応用先を模索する必要がありそうです。

参考

【レーザ】レーザクリーニング

概要

レーザクリーニングは、レーザ光を除去対象物に照射することによって、レーザの特長である高いエネルギー集光能力を活用して、物質の蒸発及び衝撃圧力によって、除去対象物を母材表面から剥離する、洗浄方法のことです。

この洗浄方法で一番大切なことは、レーザの強度です。除去したい領域にどれだけのエネルギーを充てるかがクリーニングの性能によります。要求される洗浄品質によりますが、レーザ強度によっては母材を損傷させてしまうこともありますので、その調整には非常に神経が必要です。

多くの場合、一度設定を決めてしまえば、レーザの再現性のため、再調整はほとんど必要なく、最適なクリーニングができます。

構成

レーザクリーニングは、レーザ照射を使用し母材のサビ、コーティング、汚れなど密度が低いものを除去するの洗浄方法です。

最も重要な構成要素は、レーザです。母材の密度や反射率等に応じて、最小限のダメージしか与えないようなレーザを選択します。波長や強度、パルス等が選択要素となります。

次に走査装置を検討します。多くの場合、ガルバノスキャナのようなデバイスを用いて高速にレーザを走査します。その走査速度やタイミング、方向等もクリーニングの性能に影響を与えます。

構造としては、手にレーザヘッドを持ってレーザ照射範囲を移動させるハンディタイプや、装置の中に組み込んでロボット等がレーザヘッドを走査するタイプもあります。

特徴

レーザクリーニングプロセスは、溶剤や水などを用いないドライ環境でのクリーニングになることが大きなメリットです。廃棄物の処理を必要とせず、非接触加工であるため、適正なレーザ照射条件を選定さえすれば、母材を傷つけずにクリーニングを行うことが可能です。

しかし、母材のダメージのリスクもあります。テスト加工を十分に行い、ダメージを最低限に抑えます。

装置のコストも高いですが、クリーニング内容によっては、十分に効果的な場合があります。

用途

  • 錆おとし・表面クリーニング
  • 印刷&包装用ローラのクリーニング
  • 表面処理の前処理
  • コーティングの除去、グリース除去、酸化膜除去、塗料除去

さいごに

レーザクリーニングは、従来の洗浄方法と全く異なるプロセスです。初期コストが高くなりがちですが、メリットが多い技術です。また、しかしランニングコストが非常に低く、ほぼ電気代だけとなっています。加工行程も少ないので専門知識がなくても扱うことができるという点での魅力もあります。

参考