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【マイクロ溶接】超短パルスレーザーを用いたガラスの微細溶接

ガラス加工のニーズ

ガラスは透明かつ化学的・物理的に安定であるため、多岐にわたる分野で使用される材料の1つです。ガラス部品の製造では多くの場合接合を必要とし、その精密さが製品の性能を大きく左右することも少なくありません。今回紹介する超短パルスレーザーを用いたガラス溶接以外にも、今まで様々な溶接方法が用いられてきましたが、その接合技術の向上は大きな課題となっています。

ガラス加工の難しさ

溶接で一般的に用いられる金属材料とは異なり、ガラス材料は多くの種類のレーザー光を透過する性質を有するため、レーザーを用いた加工は今まで難しいとされてきました。しかし後述する超短パルスレーザーの産業レベルでの実用化が成功し、ガラスを透過しないような極めて高いピークパワーを有するレーザー(超短パルスレーザー)での加工が可能となりました。実際にスマートフォンに使用される平面ガラスの切断では、超短パルスレーザー発信器が活用されています。

超短パルスレーザーの原理

超短パルスレーザーをガラス内部に強く照射すると、非線型プロセスによりレーザー強度の高い焦点付近でのみ吸収が発生し、ガラス表面付近では全く吸収されません。結果として、内部溶融が可能となります。部品の外表面に影響を与えることなく、接合すべき部分のみを洗濯して接合可能なこの方法は部品の構造設計の自由度を大幅に拡大します。

超短パルスレーザーによるガラス溶接のメリット

超短パルスレーザーによるガラス溶接の特徴はなんと言ってもガラスの平面度を阻害せずかつ、高強度での加工が可能な点にあります。これは接着の強さや耐久性、高い劣化耐性が要求される製品にとっては、不可欠な要素となります。

超短パルスレーザーによるガラス溶接のデメリット

欠点がないかのように思われる超短パルスレーザーですが、産業分野で実際に活用するためには大きな課題があります。それは加工スピードの問題です。超短パルスレーザーの加工スピードは10mm/秒程度であり、高速化のためにはさらなる高出力化や高繰り返し周波数化が必要となります。

レーザー以外のガラス接合

加工の難しいガラスの接合ですが、レーザーを用いた接合以外にもいくつかの接合方法が存在します。

接着剤による接合は、大掛かりな設備を必要としないメリットがある反面、長い硬化時間が必要、経年劣化、アウトガスの発生(周辺部材の劣化につながる)、などのデメリットがあります。

ロウ接では、ガラス基板より融点の低いガラス材を差込み、炉内で加熱することにより接着を可能とします。これには、接合強度・耐熱性の低さといったデメリットがあります。さらに、接着材とガラス基板の屈折率の違いにより、光学的応用に悪影響を与えてしまうのも特徴です。

オプティカル・コンタクトはガラス分子間に働くファンデルワールス力を利用した接合方法です。しかしながらその接合強度はガラス基板本来の材料強度よりも2桁劣ってしまいます。

拡散接合法は機械強度を保持したままの接合が可能ですが、高精度の接合面加工と高温下での長時間加熱を必要とし、実用性は極めて低いのが現状です。

CO2レーザーによるガラス溶接との比較

超短パルスレーザーの登場以前、レーザーを用いたガラスの溶接にはCO2レーザーが用いられていました。CO2 レーザーの波長は10.6μm であり、極めて高い吸収率でガラスに吸収されることで金属材料と同様の溶接が可能となります。しかし、CO2レーザーによるガラス溶接はレーザー照射時にガラス表面に発生する熱を利用した技術であるため、レーザー照射部及びその周辺が熱により変形し、ガラス材料の大きな特徴である平面度を維持する事が困難となってしまいます。IoT技術の発展に伴って部品の小型化・高密度化が進み、ガラスの高い平面度を活用した電子機器の必要性は年々高まっています。そのため、ガラス材料の平面度を阻害しない、超短パルスレーザーを用いたガラス溶接技術には大きな期待が高まっています。


 

参照

  

【加工】レンズの作り方

概要

多くの場合、レーザーはレンズを用いて集光されます。レーザー加工においては非常に重要なキーパーツです。ここでは、レーザー機器等で使用される光学レンズの製造工程を示します。

全体の流れ

以下に全体の流れを示します。
  1. ガラスの溶解
  2. ガラス切断、丸め
  3. 荒ずり
  4. 砂かけ
  5. 研磨
  6. 芯取り
  7. コーティング

製造工程

1. 溶解

まず、材料となる物質を混ぜて光学ガラスの溶解及び冷却を行います。用途ごとに適した透過率や屈折率となるように様々な材料を1300~1500度になるまで加熱して溶解します(溶解ガラス)。次に、型に移し、600℃ぐらいまで冷やされ、その後ゆっくりと2週間程度かけて冷却します。この時点では、白く曇ったガラスとなっています。 従来は、粘土製のるつぼで行われてきましたが、新種のガラスでは粘土を侵食する問題があったため、内部に白金をコーティングされたるつぼが開発されました。

2. 切断、丸め

冷却されたガラスは、必要な大きさのブロックに切断されて、外形を丸く削られます。

3. 荒ずり

ガラスの表面をレンズの球面にするために、カーブジェネレータ―と呼ばれる装置を使い形状を出していきます。ガラスを回転させて置き、カップ状の人工ダイヤモンド工具で、その角度を変化させながら目的の曲率(R)や厚みまで削ります。うまくRを付ける必要があり、重要な作業です。形状に誤差があると収差の原因となります。この時点でも、レンズは白く曇った状態です。

4. 砂かけ(精研削)

砂や人工ダイヤペレットを鋳物で出来ている皿状の治工具に貼り付け、仕様形状にしたがって荒ずり工程より細かく正確に削ります。より精密な研削を行うため、材料に合わせたダイヤの選定が必要なります。複数のレンズを同時に磨く方が効率がよく正確な球面となるため、多くのレンズをまとめて研削します。 この時点では、加工されたガラスは若干の透過がみられるようになりますが、まだすりガラス状となっています。

5. 研磨

レンズ表面を磨き上げます。ポリウレタンなどを貼った磨き皿と、酸化セリウムなどの研磨剤が利用されます。ポリウレタンパッドを貼り付け回転させ、酸化セリウムなどの研磨剤を流しながら、傷が無く、図面通りの面精度、中心厚になるよう磨き上げます。不適切な材料で研磨を行うと、レンズが傷だらけになったり、全体的にぼけたり、部分的に像を結ばないといった品質低下の原因となります。 この工程は最後の仕上げ工程ですので表面形状、粗さがサブミクロンオーダーの正確さで加工されます。 加工後のレンズは、曲率を確認するために原器と重ねてニュートンリングを観察して検査します。

6. 芯取り

レンズの表裏の曲率中心を結ぶ光軸を調整する最終的な工程です。レンズ外形が光軸に対して対称となるように加工します。 レンズの外径を真円に近づくように人工ダイヤモンドのホイールで削ります。レンズを両側から挟みこんで、表面の滑りを利用してレンズ中心を出すベルクランプ法が利用されます。このダイヤモンドホイールにも様々な形状があり、各レンズに選択します。

7. コーティング

最終工程であるコート工程では研磨後のレンズ表面に、反射防止の薄膜を蒸着させ、何層も重ねます。蒸着とは真空状態のチャンバー内で、化学物質をとばして成膜することです。反射があると、光の透過率が落ち、画像が暗くなったり、不要な像が出たりします。 単層コーティングでは、MgF2(フッ化マグネシウム)が使われます。多層膜は、様々な物質が利用されます。

歴史

光学レンズの作り方は約200年前にニュートンなどが改良し完成させた方法が、今でも基本的な原理となっています。 現在は、もっと高い精度のレンズを大量に安く作るように工夫されています。

参照