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【技術】CMOSイメージセンサ

概要

CMOSイメージセンサは、撮影した画像をデジタルデータに変換するための半導体素子の一種です。CMOSイメージセンサは、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサと比較して低電力で高速な動作が可能であり、スマートフォンやデジタルカメラなどの一般的なデジタル機器に広く使われています。

CMOSイメージセンサは、画像を構成するためのピクセルアレイと、各ピクセルに対応するアナログ回路、およびアナログからデジタル変換回路で構成されています。撮影された光は、各ピクセルにおいてフォトダイオードと呼ばれる光センサーによって電荷に変換されます。そして、各ピクセルに対応するアナログ回路が、この電荷を増幅してアナログ信号として取り出し、アナログからデジタル変換回路が、このアナログ信号をデジタルデータに変換して、画像を構成するピクセルの明るさを表現します。

CMOSイメージセンサは、CCDイメージセンサと比較して製造工程が単純であり、低電力で動作が可能であるため、携帯電話やタブレット、デジタルカメラなどの小型のデバイスで利用されています。また、近年では自動運転技術やロボットなどの分野でも利用が広がっています。

原理

CMOSイメージセンサは、画像を構成するためのピクセルアレイと各ピクセルに対応するアナログ回路およびアナログからデジタル変換回路で構成されています。以下に、CMOSイメージセンサの原理について詳しく説明します。

  1. ピクセルアレイ

CMOSイメージセンサには、画像を構成するためのピクセルアレイがあります。ピクセルアレイには、横方向と縦方向に並んだピクセルがあり、各ピクセルにはフォトダイオードと呼ばれる光センサーが搭載されています。撮影した光は、このフォトダイオードによって電荷に変換されます。

  1. アナログ回路

各ピクセルには、フォトダイオードから得られた電荷を増幅するアナログ回路があります。アナログ回路は、電荷を電圧信号に変換してアナログ信号として取り出します。アナログ信号は、明るさのレベルに応じて変化し、各ピクセルの明るさを表現します。

  1. アナログ-デジタル変換回路

アナログ-デジタル変換回路は、アナログ信号をデジタルデータに変換するための回路です。各ピクセルから取り出されたアナログ信号は、アナログからデジタル変換回路に送られて、デジタルデータに変換されます。このデジタルデータは、画像を構成する各ピクセルの明るさを表現します。

CMOSイメージセンサの特徴は、ピクセルごとにアナログ回路が存在するため、各ピクセルが独立して処理できる点です。また、電力消費が少なく、高速で処理できるため、スマートフォンやデジタルカメラなどの小型デバイスに適しています。さらに、近年では自動運転技術やロボットなどの分野でも利用が広がっています。

歴史

CMOSイメージセンサの歴史は、1980年代初頭に始まります。当時、イメージセンサはCCD方式が主流でしたが、CMOSイメージセンサは低消費電力や高速読み出しが可能というメリットがあり、注目を集めました。

最初に商業的に成功したCMOSイメージセンサは、1995年に米国のPhotobit Corporationが発売したものでした。これは、イメージセンサ市場において、CCD方式からCMOS方式への移行を促す一つのきっかけとなりました。

その後、CMOSイメージセンサの技術は進歩し、性能が向上していきました。2000年代には、フルカラーのCMOSイメージセンサが登場し、スマートフォンやデジタルカメラの普及につながりました。

2010年代に入ると、CMOSイメージセンサの技術はさらに進化し、高画質・高速・低ノイズなどの性能向上が図られています。また、AI技術や自動運転技術などの分野でも、CMOSイメージセンサが利用されるようになってきています。

現在では、CMOSイメージセンサは様々な分野で利用され、イメージセンサ市場の主流を占めるまでになっています。これからも、CMOSイメージセンサの性能向上や応用分野の拡大が期待されています。

特徴

CMOSイメージセンサの今後の可能性は非常に高いと言われています。以下に、その理由をいくつか挙げてみます。

  1. 高画質化: CMOSイメージセンサの性能は年々向上しており、今後も高画質化が期待されています。例えば、より小型化されたピクセルを搭載することで、高精細な画像の取得が可能になると考えられています。
  2. 複数カメラ搭載: スマートフォンなどのモバイル端末では、複数のカメラを搭載することが一般的になっています。CMOSイメージセンサの技術は、複数のカメラを搭載した端末の普及に貢献することが期待されています。
  3. AIやIoTへの応用: CMOSイメージセンサは、AI技術やIoTデバイスなどの分野でも利用されています。例えば、センサーデータをリアルタイムに処理することで、工場や農業などの現場での効率化が期待されています。
  4. 自動運転技術への応用: 自動運転技術の発展には、高性能なイメージセンサが必要不可欠です。CMOSイメージセンサの高性能化は、自動運転技術の進化にもつながることが期待されています。

これらのように、CMOSイメージセンサは様々な分野で利用され、今後もその可能性は拡大していくことが予想されています。

参照

CMOSイメージセンサとは

【技術】レイリー散乱

概要

レイリー散乱(Rayleigh scattering)とは、光が粒子などの小さな不均質体に当たった際に、その方向が変化する現象です。この散乱は、波長の短い光(例: UV、青色)ほど強くなります。

歴史

レイリー散乱は、19世紀にイギリスの物理学者であるロード・レイリー(Lord Rayleigh)によって初めて詳細に研究されました。彼は、散乱光の強度が波長の4乗に反比例することを発見し、この散乱の理論的な基盤を提供しました。

原理

レイリー散乱は、散乱体のサイズが光の波長よりもはるかに小さい場合に生じます。光が粒子に当たると、電場が粒子内で遮断され、その結果、電場が再び放出されます。この再放出された光は、元の光と同じ波長を持ちますが、散乱体の周りに均等に放射されるため、散乱された光は全方向に広がります。

応用例

  • 大気学: 大気中の微粒子(空気中の塵や気体分子)によるレイリー散乱は、空の色の青さや夕暮れ時の空の色合いに影響を与えます。
  • 天文学: 星の光が大気中の微粒子によってレイリー散乱されることで、空が明るくなるため、天文学者は天の川などの星座の観察に制約を受けることがあります。
  • 光通信: 光ファイバーや他の光通信システムでは、光が素材の微小な欠陥や不均質体で散乱されることがあります。この散乱は、信号の損失やノイズの原因となります。

参考資料

【技術】マイクロレンズアレイ

概要

マイクロレンズアレイ(Micro Lens Array, MLA)は、複数の微小なレンズを規則的に配列した光学素子です。これらのレンズは、それぞれが光を収束または発散させる役割を持ち、様々な光学的応用に利用されます。直径は数ミクロンから数百ミクロン程度で、ガラスやプラスチックなどの材料から作られます。製造方法には、リソグラフィ技術やエッチング技術、インプリント技術が用いられ、半導体製造と類似した方法が採用されています。

原理

  1. 光の屈折:
    マイクロレンズアレイの各レンズは、曲面を持つため、光がレンズを通過する際に屈折します。この屈折によって、光の経路が変わり、収束または発散します。レンズの形状や材料によって屈折率が決まり、これが光の屈折角に影響を与えます。
  2. 光の集束:
    集光レンズとして機能する場合、入射光を一つの焦点に集めます。これは、凸レンズの原理と同様で、レンズの曲率半径と材料の屈折率によって焦点距離が決まります。集光された光は、より明るく、エネルギー密度が高くなります。
  3. 光の発散:
    逆に、光を発散させることもできます。凹レンズの原理を利用して、入射光を広げることが可能です。これにより、広範囲にわたって光を分散させることができます。

製造技術

マイクロレンズアレイの製造には主に以下のような技術が応用されています。

  1. フォトリソグラフィ:
    半導体製造技術を応用して、フォトマスクを使用し、基板上にマイクロレンズのパターンを形成します。光感応性ポリマーを使って、パターンを転写し、その後エッチングによってレンズ形状を作り出します。
  2. モールドインプリント:
    高精度なモールドを用いて、プラスチックやガラス基板にマイクロレンズパターンを転写します。この方法は、大量生産に適しており、コスト効率が高いことが特徴です。
  3. エッチング:
    乾式または湿式エッチング技術を用いて、基板から不要な部分を除去し、レンズ形状を形成します。エッチング条件を精密に制御することで、高精度なレンズを作り出します。

応用例

マイクロレンズアレイの主な応用例は以下の通りです。

光通信

  1. 光ファイバーのカップリング:
    光ファイバーと他の光学素子(例えば、レーザーやフォトディテクター)との間で光を効率的にカップリングするために使用されます。これにより、光の伝送ロスを減少させ、通信効率を向上させます。
  2. 波長分割多重化(WDM):
    WDMシステムでは、異なる波長の光を一つの光ファイバーに同時に伝送します。マイクロレンズアレイは、異なる波長の光を分離または結合するために利用されます。

ディスプレイ技術

  1. 高解像度ディスプレイ:
    マイクロレンズアレイは、ピクセルごとに光を集光させることで、ディスプレイの輝度とコントラストを向上させます。これにより、画面の鮮明さが増し、視覚的な体験が向上します。
  2. 3Dディスプレイ:
    裸眼で3D映像を楽しむために、マイクロレンズアレイを利用して各目に異なる視差画像を提供します。これにより、立体的な映像が実現されます。

イメージングシステム

  1. レンズレスカメラ:
    マイクロレンズアレイをセンサーの前に配置し、各レンズが異なる視点の光を集めることで、複数の視点からの画像データを取得します。このデータを処理して、焦点を合わせた画像を再構成します。
  2. 顕微鏡:
    マイクロレンズアレイは、顕微鏡において焦点深度を拡大するために使用されます。これにより、試料のより深い部分を同時に観察することが可能となります。また、解像度を向上させるためにも利用されます。

照明

  1. LED照明:
    LEDからの光を均一に分散させるためにマイクロレンズアレイを使用します。これにより、影のない均一な照明を提供できます。
  2. プロジェクター:
    プロジェクターの光源から出る光を効率的に利用し、明るく鮮明な投影を実現するために使用されます。

センシング

  1. 生体分子検出:
    バイオセンサーにおいて、試料中の生体分子を検出するために使用されます。マイクロレンズアレイは、光の集光能力を利用して、微小な生体分子の検出感度を高めます。
  2. 環境モニタリング:
    環境中の化学物質や汚染物質を検出するための光センサーに利用されます。高感度で迅速な検出が可能です。

今後の展望

まず、ナノフォトニクスとの融合により、MLAのさらなる小型化と高精度化が進むでしょう。これにより、光学デバイスの性能が向上し、微細加工技術も進展します。次に、ARやVRデバイスへの応用が進み、高解像度で軽量なディスプレイが実現されることで、より没入感の高い視覚体験が可能になります。また、メタマテリアルを利用したメタレンズ技術との統合によって、MLAの光学特性がさらに向上し、多機能な光学デバイスの開発が期待されます。

バイオメディカル分野では、MLAを用いた高感度なバイオセンサーの開発が進み、疾病の早期発見や迅速な診断が可能になるでしょう。特に、ラボオンチップ技術との組み合わせにより、ポータブルで即時に検査結果を得られるデバイスが期待されます。環境モニタリング分野では、MLAを利用したリアルタイムの微量汚染物質検出センサーが進化し、より効果的な環境保護が可能になります。

さらに、光コンピューティングにおいては、MLAが光の情報処理を効率的に行うための重要なコンポーネントとなり、従来の電子コンピュータよりも高速でエネルギー効率の高いコンピューティングが実現されます。最後に、ホログラフィックディスプレイ技術が進展することで、よりリアルな3D映像の表示が可能となり、エンターテインメントや教育、医療などの分野での利用が期待されます。このように、MLAは今後も多くの技術分野で重要な役割を果たし続けるでしょう。

参考

  1. マイクロレンズアレイ|製品情報
  2. マイクロレンズアレイの紹介丨準備・加工方法と応用

【技術】研磨加工のお話し(その2)

続:ピッチポリッシャー

ピッチポリッシャーについてもう少し掘り下げてみます。

ピッチは高温で液体状になり常温では固体化する特徴があります。その温度に対する敏感さや硬さは、それぞれのピッチでも特徴があり、同種のピッチの中でも硬さ別に分けて管理されていることがほとんどです。
又、常温で固形状態になっているピッチは瞬間的な力には硬く、ゆっくりと荷重をかけると、徐々に変形してゆく特徴があり、この変形が、面転写の研磨加工では都合の良い特徴とも言えると同時に制御性の悪い弱点とも言えます。

ピッチの種類

研磨加工で使用されるピッチには大まかに3種類あります。

  • アスファルトピッチ
  • ウッドピッチ
  • タールピッチ

アスファルトピッチは石油を精製するときの副産物で舗装道路などで使用されていることが一般的に知られている物です。ピッチの特徴でもあるゆっくりと変形する特徴は、渋滞の多いアスファルト舗装道路の「ワダチ」となりやすいことからもイメージがつきやすいです。

ウッドピッチはアスファルトピッチと比較して熱に対して敏感な印象です。

タールピッチはタールの配合量で硬さが変化する特徴があります。(個人的主観も含みます)用途に応じて使い分けることもありますが、管理も大変なので、アスファルトピッチが多い印象です。(職人の好みも含まれます)

研磨機

これらのピッチポリッシャーは、概ねオスカー式研磨機で使用されます。オスカー式研磨機を言葉で説明すると、「回転するポリッシャー(またはワーク)に円心揺動するアームの先にワーク(またはポリッシャー)を取り付けることで、ワーク(ポリッシャー)が連れ回り、研磨剤を介することで加工が進む研磨方式」と言えますが、分かりにくいと思いますので、深堀はしません。

このオスカー式研磨機は、ガリレオが望遠鏡のレンズを磨いた研磨機と言われており、動力源が変わったこと以外、基本的な機構は現在でもほとんど変わっていないようです。

【技術】研磨加工のお話し

研磨加工の歴史

研磨加工の歴史は古く、1万年前の新石器時代まで遡ることができます。
旧石器時代は石などを割ったり砕いたりして、具合の良い形状を選択して使用していたとされています。新石器時代になると、この石器を石や砂利などにこすりつけて、表面を滑らかにして、より鋭利な刃物として加工したことが研磨のルーツと言われています。
その後もメノウの勾玉や管玉など装飾品、青銅の鏡、ガリレオのレンズやニュートンの反射鏡などなど研磨技術は続いていきます。

現在に至っても、光学部品はもとより電子、機械分野でも幅広く活用されています。対象材料も多様で金属をはじめ、ガラスなどの脆性材、樹脂やセラミックに至るまで用途に応じた研磨加工が行われています。

ピッチポリッシャー

ここでは古くから使用されている遊離砥粒を使用したピッチポリッシャー研磨についてお話をします。

ピッチ研磨は古代から知られており、ガラスや宝石を磨くために使用されていました。現在でも高精度加工用としてピッチ研磨は活躍しております。

ガラスなどの脆性材を研磨加工する場合、加工面の仕上がり状態で二分することができます。
一つは表面を滑らかな凹凸の少ないラップ加工(lapping)職人たちは砂かけと呼びます。この加工では表面は曇りガラスの仕上がりになります、職人言葉では砂目や梨地ともいわれます。

一方で鏡面(透明)になる研磨加工(polishing)と言い分けており、波長レベルの高精度研磨面は光学研磨ともいわれます。

このように仕上がり表面での違いがありますが、ともに研磨加工と呼ばれます。

研磨加工の要素

その昔、研磨加工は人の手や動物の皮などを使い研磨加工を行っておりました。
研磨加工を行うための3要素として

  • 研磨剤(研磨材)…磨き粉(砥粒)
  • 研磨工具…定盤、バフ、ポリッシャー
  • 研磨対象物…各種材料(金属、ガラス等)

があげられます。

研磨剤は砥粒とも呼ばれ、独立した砥粒を遊離砥粒、固形物になったものを固定砥粒と呼ばれています。遊離砥粒加工で使用される研磨剤は液体状になっていることが多く研磨スラリーや研磨液と呼ばれます。
一方、研磨剤が固形成形されたものは、固定砥粒加工と言われ、研削(研磨)砥石や研磨ペレットという名称で呼ばれます。

砥石を使った加工は研削機械加工と言われて、金属などを砥石で鏡面化する場合などは、研削研磨加工と言われる場合もあります。砥石を使った機械研削加工は制御性が良く、高精度加工に向いています。

一方で、流離砥粒を使用した研磨加工は、加工速度も遅く、制御性はあまりよくありません。特にピッチポリッシャーを使用した場合は、加工技術者の高い熟練度が必要となります。しかしその仕上がりは非常に緻密な高精度研磨加工が可能で、現在に至っても使用されることがあります。

【光学】ニュートンリング

概要

ニュートンリングは、平坦なレンズやガラスの表面とその下にある平板の間に空気層ができると、その空気層内での反射光によって生じる干渉縞のことです。これは薄い空気層とレンズ表面または平板の間に生じる特定の条件下での干渉パターンです。

歴史

17世紀の物理学者であるアイザック・ニュートンによって初めて観察され、彼の著書『Opticks』に記載されました。ニュートンはこの干渉パターンを利用して、レンズやガラスの曲率半径を測定する手法を開発しました。

原理

平坦なレンズやガラス表面とその下の平板ガラスとの間に生じる空気層による干渉に基づいています。光がレンズ表面に当たり反射されると、その後に平板ガラスとの間の空気層で再度反射されます。この二重反射によって、反射光の干渉が生じ、明暗の縞模様として観察されます。

特徴

  • 干渉縞は中心から外側に向かって環状に広がる
  • 環の幅や明るさはレンズや平板ガラスの接触状態や曲率半径に依存する
  • 空気層の厚さやレンズの曲率半径を測定するのに有用

応用例

  • 光学部品の表面品質や平坦性の評価
  • レンズやガラスの曲率半径の測定
  • 薄膜の非破壊検査

参考資料

【技術】光導波路

概要

光導波路(optical waveguide)は、光を特定の経路に沿って伝搬させるための構造です。これは、光ファイバー通信や光集積回路(光IC)など、多くの光技術において重要な役割を果たします。

構成

光導波路は主に以下の3つの部分から構成されています。

  • コア(Core): 高い屈折率を持つ部分で、光が伝搬する経路です。
  • クラッド(Cladding): コアを取り囲む低い屈折率の層で、光の漏れを防ぎ、全反射を促進します。
  • バッファ(Buffer): (場合によっては)外部環境から保護するための層です。

全反射

光導波路の動作原理は、主に屈折率の異なる材料間での光の反射と屈折に基づいています。
光が異なる屈折率を持つ媒質間を通過する際、その角度は以下のスネルの法則に従います。(\(n_1\)と\(n_2\)はそれぞれの媒質の屈折率、 \(\theta_1\)と\(\theta_2\)は入射角と屈折角)$$n_1\rm{sin}\theta_1=n_2\rm{sin}\theta_2$$
高い屈折率の媒質(コア)から低い屈折率の媒質(クラッド)へ光が進む場合、入射角がある臨界角以上になると、光は全反射し、クラッドに進まずコア内に留まります。この臨界角は以下の式により表すことができます。
$$\theta_c=\rm{sin}^{-1}\left(\frac{n_2}{n_1}\right)$$

モード

光導波路内を伝搬する光には「モード」と呼ばれる特定のパターンがあります。導波路の設計やサイズにより、伝搬するモードの種類や数が決まります。

  • 単一モード(Single-mode)導波路: 1つのモードのみが伝搬する構造で、高速かつ長距離通信に適しています。光ファイバー通信で一般的です。
  • 多モード(Multi-mode)導波路: 複数のモードが伝搬する構造で、データセンター内部などで短距離通信に使用されます。

減衰と分散

光導波路内での光の伝搬には、減衰と分散の問題があります。

  • 減衰: 光の強度が距離とともに減少する現象。材料の不純物や吸収、散乱が原因です。
  • 分散: 光パルスの広がりにより、信号が歪む現象。異なる波長の光が異なる速度で伝搬するためです。

種類

代表的な光導波路の種類を以下に示します。

光ファイバー

光ファイバーは、最も一般的な光導波路で、長距離通信に広く使用されています。その中でも大きく2つに大別されます。
単一モードファイバーはコアの直径が非常に小さく、通常8~10ミクロン程度です。1つのモードのみが伝搬し、長距離通信や高速データ伝送に適しており、インターネットのバックボーンなどに使用されます。
多モードファイバーはコアの直径が50~100ミクロンと大きいです。複数のモードが伝搬するため、モード間分散が発生しやすく、短距離通信に適しており、データセンター内やLANで使用されます。

平面光導波路

平面光導波路は、平面状の基板上に形成された導波路で、光集積回路(PIC)などで使用されます。
シリコンフォトニクスはシリコンを基材とする導波路で、CMOSプロセスと互換性があり、電子回路と光回路の統合が容易です。高速データ通信、データセンター、光コンピューティングなどに使用されます。
高分子光導波路は高分子材料(ポリマー)で作られた導波路です。柔軟性があり、曲げやすく、大面積に対応可能です。フレキシブルディスプレイ、センサー、バイオフォトニクスなどに使用されます。

ナノ導波路

ナノ導波路は、ナノスケールの寸法を持つ導波路で、非常に高密度な光回路を実現できます。高い集積度を持ち、量子ドットやナノ粒子と組み合わせて使用されることが多いです。ナノフォトニクス、バイオセンシング、量子通信などに使用されます。

プラズモニック導波路

プラズモニック導波路は、金属表面でのプラズモン共鳴を利用して光を伝搬させます。金属ナノ構造を利用し、光と電子の相互作用を強くする設計です。光の波長以下の寸法で光を閉じ込めることができ、ナノスケールでの光操作が可能です。ナノフォトニクス、光センサー、高密度光データストレージなどに使用されます。

導波管型導波路

導波管型導波路は、基板上に隆起した形状の導波路です。基板上にエッチングや堆積によって形成された隆起部分がコアとなります。高い製造精度が必要ですが、損失が少なく高効率です。集積フォトニクスデバイス、レーザー光源、光スイッチングデバイスなどに使用されます。

今後の展望

光導波路技術は、光通信やセンサー技術などの分野で重要な役割を果たしており、今後も多くの進展が期待されています。

高速通信とデータセンター

5Gの普及と6Gの研究が進む中で、光導波路はバックホールやフロントホールでの高速データ伝送に不可欠です。またデータセンターでは、大量のデータを低遅延で処理するために、シリコンフォトニクスを利用した光導波路が求められています。これは、電力消費の削減と通信速度の向上を両立します。

シリコンフォトニクス

シリコンフォトニクスは、既存のCMOSプロセスと互換性があり、電子回路と光回路を同一基板上に統合することが可能です。これにより、光コンピューティングや高度な光信号処理デバイスが実現します。
また、シリコンフォトニクス技術の進展により、大規模生産が可能となり、コストが低減されます。これにより、より広範なアプリケーションでの利用が進むことが期待されます。

ナノフォトニクス

ナノフォトニクス技術を用いることで、光回路のさらなる小型化と高集積化が可能となります。より高密度な光集積回路が実現し、次世代のコンピュータチップに組み込まれることが期待されます。さらに、ナノスケールの光導波路は、量子ドットやナノ粒子と組み合わせることで、量子ビットの操作や量子情報処理に利用されます。これにより、量子コンピューティングの実用化が進むでしょう。

プラズモニック導波路

プラズモニック導波路は、光をナノスケールで操作できるため、データストレージやセンサー技術での高密度化が期待されます。さらに、極めて高感度なバイオセンサーを実現することも可能です。これにより、医療診断や環境モニタリングの精度が向上します。

新材料と製造技術

グラフェンやその他の2次元材料を用いた光導波路は、高い光伝導性と低損失を持ち、次世代の高速データ通信やセンサー技術に応用されます。また、ナノインプリントリソグラフィーなどの先進的な製造技術により、光導波路の微細構造の作製が可能となり、性能が向上します。

環境と持続可能性

光導波路技術の進展により、低消費電力の光デバイスが開発され、データセンターや通信ネットワークのエネルギー効率の向上が期待されます。

参考

  1. 3分でわかる技術の超キホン 光導波路の基礎知識・要点解説《種類/原理と構造/モードなど》
  2. 超小型 ・ 高密度集積に向けた光導波路技術

【レーザ】ルビーレーザ

概要

ルビーレーザーは、合成ルビー結晶を利得媒質とする固体レーザーの一種です。

1960年5月16日、ヒューズ研究所のTheodore H. Maimanによって作られたルビーレーザーが最初の実用化されたレーザーです。

ルビーレーザーは、波長694.3nmのコヒーレントな深い赤色の可視光線のパルス発振のレーザーで、一般的なパルス長は、1ミリ秒のオーダーとなっています。

構成

ルビーレーザーは、多くの場合、ロッド状のルビーを媒質として構成されています。合成ルビー、すなわちアルミナ骨格 (Al2O3) の Al 原子のうち0.01~0.5%程度が発光原子であるクロムに置換されたものをレーザ媒質として用います。

反転増幅をさせるために、キセノンフラッシュランプ等で非常に高いエネルギーで励起します。このルビーロッドは共振器である 2 枚の鏡の間に置かれ、ルビーの蛍光によって生じる光を発振させ、誘導放出させられます。

ルビーは可視光領域の光を発する数少ない固体レーザーで、694.3nmで発振し、0.53nmという非常に狭い線幅であるというのが特徴です。

ルビーレーザーは他の材料に比べてパルス幅を長くすることができ、非常に高いエネルギーでの励起が可能です。また、非常に広い吸収プロファイルを持つ一方で、その変換効率は他の媒体に比べて非常に低いというのが欠点となっています。

また、近年美容用途で用いられる場合には、Qスイッチをつけて短時間だけ照射することで、皮膚へのダメージを減らす工夫もされています。

さらに、モード同期や増幅技術の進歩があり、1970年代には毎年数倍という驚異的な速さで改良が進められました。

応用例

ルビーレーザーの最初の用途の1つは、距離測定でした。1964年には、回転プリズムQスイッチを備えたルビーレーザーが軍用距離計の標準となり、その10年後にはより効率的なNd:YAG距離計が製造されました。

また、ルビーレーザーは波長可変色素レーザを光学的に励起するために使われた最初のレーザーで、特に近赤外で発光する色素レーザーの励起に使用されました。

近年では、原因となるメラミンへの反応が高いレーザーであることから、シミやほくろ除去など美容用途での広がりも見せています。

残念ながら、ルビーレーザーは主に低効率と低い繰り返し周波数のために、産業ではほとんど使用されていません。しかし、ルビーレーザーの高出力ビームはダイヤモンドの赤色の幅広い吸収帯(GR1バンド)と相性が良いため、ダイヤモンドの穴加工に用いられたこともあります。