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【レーザ】バッテリー溶接(ビーム成形)

概要

EV市場はバッテリー最大の量産市場であり、バッテリー技術および製造効率の進歩を推進しています。バッテリー技術の発展によりもたらされるエネルギー密度、充電サイクル、信頼性の向上などは、民生用自動車のみならず、配送トラックや公共交通機関などの商用車市場にも大きな影響を与えます。バッテリー溶接技術の進歩により、EVとICE車(内燃機関車)の価格は、数年のうちに同等になるとも予想されています。

レーザ溶接の課題

レーザ溶接には、他の製造プロセスとも同様に、バッテリー溶接にもメーカーを悩ませる複数の課題が存在します。
その一つに部品間の大きなばらつきがあります。これは、製品設計の進化とサプライチェーンにおける変化が、溶接部品の品質と再現可能性に影響を与えるためです。

銅とアルミニウムはバッテリー溶接においてよく用いられる金属です。これらの金属は、鋼鉄やステンレス鋼、ニッケルよりも溶接の難易度は上がりますが、どちらも熱伝導率が高く、液粘度が低く、溶融溶接池においてガスと結合する親和性を有します。

銅とアルミニウムの溶接の際は、隣接部品の過熱を防ぐために、非常に高速で熱入力の低い溶接プロセスが要求されます。この溶接プロセスについて、構造接続の場合は、溶接部の強度を可能な限り高くする必要があります。しかし、重量が増加するとエネルギー密度が低下してしまうため、溶接プロセスの対象となる接合領域を大きくすることは避ける必要があります。

電気接続については、電流が流れるように溶接領域を十分に広くしつつ、大きな溶融堆積によって生じるひずみを抑える必要があります。このような課題に加え、サイクル速度や品質に対する要件が加わります。
このように、レーザ溶接エンジニアに求められる技術は非常に高いものとなります。

シングルモードのビーム成形

シングルモードのファイバレーザは、厳しい溶接条件に対する有効な解決策であるとされています。

シングルモードビームは、その小さなスポット径に高い出力密度によって、深い溶け込み溶接を極めて高速に実行することが可能で、さらに熱入力がほとんどなく、ひずみも小さいことが特徴です。また、シングルモードのファイバレーザは、銅とアルミニウムのキーホール溶接時の反射率にも耐えうる強度を有するため、非常に小さな構造の溶接から厚みのある電極溶接まで、多用途で有効なバッテリー加工手段として評価されています。

ビーム成形とシングルモードのビーム品質を単一のレーザ源に組み合わせる方式も考案されています。シングルモードのファイバからのレーザ出力分布を、最大40μmのリングファイバまで動的に変更する技術も開発されています。
銅の溶接時は、最高強度のシングルモードビーム形状により、キーホール溶接モードにて、最も深い溶け込みと高速な溶接速度を得ることができます。
アルミニウム接合部の溶接に関しては、より大きなリングビーム形状が加工時の安定した溶接池とキーホールの維持に有効となります。シングルモードビームの3倍の直径を有する、この40μmのリングビームは、その大きな直径にも関わらず、強度が1kWと高く、アルミニウムの中にガス空洞を形成することができます。

参考文献

ティム・モリス、ブライアン・ヴィクター, バッテリー溶接のためのレー ザビーム成形, Laser Focus World Japan, pp18-21

【レーザ】マイクロチップレーザ

概要

マイクロチップレーザは、非常に小型のレーザであり、高密度の情報処理やセンシングなどに広く使用されます。通常、固体レーザまたは半導体レーザであり、非常に短いパルス幅を生成することができます。これにより、高密度の情報処理に適しています。

マイクロチップレーザの開発には、レーザ加工技術、半導体技術、光学技術など、多くの技術分野が関わっています。現在、マイクロチップレーザは、データストレージ、通信、センサー、生物医学分野で使用されています。

マイクロチップレーザは、1980年代初頭に最初に開発され、その後、センサーや生物医学分野など、他の分野でも使用されるようになりました。マイクロチップレーザの特徴は、小型であることと、非常に短いパルス幅を生成できることです。これにより、高速で正確な光パルスを生成することができ、情報処理やセンシングなど、多くの分野で重要な役割を果たしています。

原理

マイクロチップレーザは、固体レーザまたは半導体レーザの一種で、その原理は一般的なレーザ発振に基づいています。レーザ発振は、活性媒体(レーザ媒体)に光を注入し、光の共鳴を利用して光を増幅し、最終的にレーザ光を発生させる過程です。

マイクロチップレーザの場合、通常、レーザ媒体は非常に小型化されており、微小なマイクロチップの上に配置されています。レーザ媒体は、通常、固体レーザの場合にはNd:YAG(ネオジウムドープイットリウムアルミニウムガーネット)やNd:YVO4(ネオジウムドープイットリウムバナジウム酸化物)などが使用され、半導体レーザの場合には、ガリウムアルセニド(GaAs)やガリウム砒素化合物(GaInAs)などが使用されます。

レーザ発振には、媒体に光を注入することが必要です。これは、通常、光ファイバーやレーザーダイオードなどの光源を使用して行われます。光源から出力された光は、レンズやミラーなどの光学素子によってレーザ媒体に注入されます。レーザ媒体内の光は共鳴し、媒体内で反射され、増幅され、最終的にレーザー光が発生します。

特長

マイクロチップレーザの特長には、以下のようなものがあります。

  1. 小型化: マイクロチップレーザは非常に小型であり、一般的に数mmから数cm程度のサイズです。これは、半導体技術を使用して製造されるためで、従来のレーザよりもはるかにコンパクトであることが特徴です。
  2. 高出力: マイクロチップレーザは非常に高い出力を発揮することができます。このため、レーザ加工やレーザ治療など、高出力が必要な分野で広く使用されています。
  3. 高効率: マイクロチップレーザは、効率的に光を発生させることができます。また、省エネルギーであるため、環境に優しいエネルギー源として注目されています。
  4. 短いパルス幅: マイクロチップレーザは、短いパルス幅を生成することができます。これは、短時間の間に高出力の光を発生させることができるため、レーザ加工やレーザ治療など、精密な光学的操作が必要な分野で広く使用されています。
  5. 高い信頼性: マイクロチップレーザは、半導体技術を使用して製造されるため、信頼性が高く、長期間安定した性能を維持することができます。
  6. 多様な波長: マイクロチップレーザは、様々な波長を発生することができます。これにより、幅広い応用分野に対応することができます。
  7. 安価: マイクロチップレーザは、半導体技術を使用して製造されるため、従来のレーザに比べて安価であることが特徴です。これは、レーザ加工や光通信など、大量生産が必要な分野で広く使用される理由の一つです。

以上のような特徴を備えたマイクロチップレーザは、幅広い応用分野で使用されています。

歴史

マイクロチップレーザの歴史は、1960年代に固体レーザ技術が発展したことに始まります。当時、最初のレーザは、ルビーレーザやNd:YAGレーザのような固体レーザでしたが、これらのレーザは非常に大きく、高価でした。その後、1970年代には半導体レーザ技術が発展し、より小型かつコスト効率が高いレーザを作成することができるようになりました。

1990年代以降、マイクロチップレーザの開発が進み、研究者たちはさまざまなレーザ媒体を使用して、より小型で高性能なレーザを作成する方法を模索しました。特に、Nd:YVO4を使用したレーザは、高出力、高効率、高信頼性、短いパルス幅などの特徴を備えていたため、広く使用されるようになりました。

2000年代には、マイクロチップレーザは、多様な応用分野で使用されるようになりました。たとえば、医療分野では、マイクロチップレーザを使用して、レーザ治療や光凝固療法などが行われています。工業分野では、マイクロチップレーザを使用して、レーザ加工、マーキング、溶接などが行われています。また、マイクロチップレーザは、光学通信、センシング、バイオテクノロジー、量子情報処理などの分野でも使用されています。

参考

マイクロチップレーザ

マイクロチップレーザー

高出力マイクロチップレーザー

【光学デバイス】音響光学素子(AOD)

概要

音響光学素子(Acousto Optic Device)は、レーザ装置内などで使われるデバイスで、強度変調あるいはビーム位置の電気的制御を行います。音響光学素子は、結晶を圧電素子で振動させ、結晶の中に疎密の定常波を作り、これを回折格子として利用する素子です。このときできる格子幅は結晶にかける振動周波数で制御できるため、できた回折格子で曲げられる光の角度も制御できます。回折格子を作るために結晶にかける振動の周波数は数十MHzから数百MHzで、それを数十kHz変調することで、ビームの高速のスキャンも可能です。

原理

ある媒体内にレーザ光線と音響波が存在するとき、すべての光学媒体において音響光学効果が起こります。音響波が光学 媒体中に入ると、正弦格子(グレーティング)のように作用するある屈折率を持った波が生じます。
入射レーザ光がこのグレーティングを通過するとき、いくつかの次元(オーダー)に回折されます。回折現象とは2本以上の接近したスリットにレーザー光線などを当てると、隣のスリット同士から出る光が干渉し合い、一定の方向の光が強くなる現象です。適切に素子を設計すれば、1次回折光線に最大効率を持たせることができます。この光線は高い周波数ほど偏向角は大きくなります。

構造

様々な音響光学媒体の選択は、波長(光学透過範囲)、偏光、パワー密度などのレーザのパラメータにより決定されます。
音響光学媒体として、可視および近赤外領域では、主にガリウムリン、二酸化テルル、インジウムリン、カルコゲナイトガラスや溶融石英が使用されます。一方の、赤外領域では、ゲルマニウムが使われます。
AOMで使用される結晶は、光学研磨され金属圧縮接着により接合されます。デバイスとして、1GHz レベルの共振周波数まで入力できるようになっています。

応用

開発当時、音響光学素子は、おなじく開発が進む光ファイバー通信で主にスイッチとして脚光を浴びていました。2つのファイバー間にAOMを入れ、AOMをオン/オフすることで光の方向が変わるため、スイッチとして利用できました。
また、別の応用として、AODを使ったレーザー顕微鏡もありました。この顕微鏡は、機械的なミラーのスキャン方式が発表されるまで、世界で唯一の動画観察ができる共焦点レーザー顕微鏡でした。スイッチとして使う場合は、問題となりませんでしたが、レーザー顕微鏡の光源として使用するには、スキャンの均質性やデバイスの物理的な大きさが課題となりました。また、ミラーと違い、点光源から出た光を点光源に戻すこと(デスキャン)ができません。ミラーなら点光源から出た入射光を走査させても、反射光は同じ経路を戻ります。AOMの場合も光学部品を追加して、点光源に戻すことができますが、反射光の経路が通る光学部品の数が多くなれば、それだけ歪みが増えて、部品点数が増えるという欠点もありました。

さいごに

AODは、高速性を有する光路制御デバイスです。

開発当初は、主にレーザーのスイッチングとして注目を浴びたり、動画観察ができるレーザー顕微鏡つぃて利用されました。今後は、ハイスピードカメラや高速なパルス信号を送るデバイスとしての活躍もあるかもしれません。

参考

【技術】EUV

概要

EUV(Extreme Ultraviolet)とは、極端紫外線を利用した光学技術の一つで、その波長が 13.5nm と非常に短い光のことを指します。EUV 技術は、半導体製造、リソグラフィ(微細加工技術)、顕微鏡技術、プラズマ研究など、さまざまな科学技術分野で重要な役割を果たしています。しかしながら、その技術的難易度は非常に高く、EUV 露光に必要な装置・部材を供給できる企業は非常に少ないのが現状です。

EUV技術の重要性

EUV技術は、半導体製造の微細加工プロセスにおいて特に重要です。半導体製造における露光工程では、シリコンウェハー上の狭い範囲に複雑な回路を書き込む必要があります。加えて、近年の技術革新に伴い、半導体に書き込む回路が複雑さは増し、同時にチップサイズの小型化のニーズも高まっており、従来よりもさらに短い波長の光源が求められています。EUV リソグラフィを用いることで、このような極めて微細なパターンを半導体ウェハーに書き込むことが可能になります。

歴史

これまで半導体業界では、露光装置の光源を波長の短いものへと変更し続けてきました。過去には、g(水銀)線(波長436nm)、ArF(アルゴン・フッ素)線(波長193nm)など、様々な物質を光源とした露光技術が導入されてきました。その最終形が EUV です。EUV を用いた露光は、7nm 以降の微細回路パターンをシリコンウェーハ上に転写するための技術として、2019年に台湾のTSMCによって初めて量産投入されました。

EUV露光の難しさ

波長が 13.5nm と極端に短い EUV 光を、従来のレンズ方式の露光装置で転写しようとすると、レンズや空気中の成分で吸収されてしまい、ウェーハ上のフォトレジストまで届かなくなってしまいます。このため、EUV 露光では光が通る経路を真空にして、なおかつ照明光学系にミラーを導入し、レンズはパターン縮小に用いる投影光学系に限定して、吸収を最小化する必要があります。

EUVの光源

EUV リソグラフィには、極端紫外線を生成する光源が必要です。これには、プラズマ放電などを使用して EUV 光を生成する装置が使用されます。

さいごに

EUV 技術は、半導体製造だけでなく、X線リソグラフィ、顕微鏡技術、プラズマ研究、リソグラフィの基礎研究など、さまざまな分野で利用されています。しかし、EUV 技術は、微細加工と高性能デバイスの製造において非常に重要であり、半導体業界などの先端技術分野で広く使用されています。新しい製品の開発や性能向上に期待が高まります。

# 参考
需要が増えている半導体製造へのEUVの利用と日本の現状
半導体の微細化に不可欠なEUV露光技術の現状とこれから

【レーザ】UVレーザ

概要

UVレーザはその波長が基本波長レーザの1/3であるレーザです。その波長が紫外線と同じ領域のため「UVレーザ」と呼ばれています。

構成

1,064nmの基本波長を非線形結晶に通して変換された532nmの波長に基本波長を合わせ、さらにもう1つの単結晶を通過させることで355nmの波長に変換します。

特徴

先述したように、UVレーザの光の波長は基本波長レーザ(1,064nm)の約1/3(355nm)です。この波長は、紫外線領域であることから「UVレーザ」と呼ばれます。

各素材に対して吸収率が非常に高く、熱ダメージを与えない印字や加工が可能なため、高い発色性や製品へのダメージを抑えた加工が求められる用途に最適です。つまり、必要以上にパワーを上げることなく、視認性の高いマーキングが可能となります。金、銀、銅をはじめとする反射率の高い材質に対しても吸収率が高く、熱ダメージを与えません。そのため煤やバリを抑制し、表面を破壊しない耐腐食性の高い印字・加工が可能です。基本波長レーザでは、封止樹脂部を透過して内部にダメージを与える懸念がありますが、UVレーザなら、高い吸収率で内部への透過を抑制することができます。

また、UVレーザは波長が短いため、レーザをレンズで集光した際に集光径をより小さくでき、微細な加工が可能です。一般的にレーザはレンズで集光すると、レーザの波長程度まで絞ることができます。したがって波長の短いレーザほど、微細な加工が可能となります。

一般に光のエネルギーはレーザの波長に反比例します。波長が短いという特徴はエネルギーの観点からも有益です。つまり、波長の短いUVレーザは波長の長いレーザに比べて、光エネルギーが高くなります。そのため、高効率な加工が可能となります。特に樹脂の有機結合を切断する点で有利であり、樹脂の高品質加工には、UV領域のレーザが多用されます。

応用例

UVレーザは、その波長の短さから光のエネルギーが高いという特徴があります。そのため、世界で最も硬い物質で知られるダイヤモンドも、UVレーザのエネルギーを直接吸収して加工されます。

またサファイアはYAGレーザではレーザー光が透過してしまい加工ができませんが、UVレーザでは光のエネルギーが高いため、レンズで集光することにより吸収が起こり、加工することが可能となります。

CO2レーザでも格子振動による吸収が起こりサファイアの加工は可能ですが、熱的な加工となるため、クラックや熱影響層の大きな加工となります。

参考

1. UVレーザーマーカー | 基礎知識 | マーキング学習塾 | キーエンス

2. UVレーザー加工|Orbray株式会社

3. レーザー加工機の種類やレーザーの分類について解説

【レーザ】インターバンドカスケードレーザ

概要

インターバンドカスケードレーザ(Interband Cascade Laser)は、半導体レーザの一種であり、通常、中赤外線領域で動作し、ICLとも呼ばれます。ICLは、従来の半導体レーザよりも長波長領域での動作が可能であり、特に分光学、気体検知、医療診断、通信、および軍事応用などの領域で使用されています。

動作原理

インターバンドカスケードレーザの主要な特徴はの一つに、量子カスケード構造があります。

通常、これは異なるバンドギャップを持つ複数の異なる半導体材料から構成されます。これらのバンドギャップは、電子が各層を通るたびにエネルギーがカスケード的に放出されるように配置されています。電子がエネルギーカスケードを経て、次第に励起された状態から基底状態に戻るときに、光が放射されます。このカスケード的なエネルギー放出の仕組みにより、ICLでは高い出力を得ることができます。

さらにICLは、連続した量子井戸構造を持っています。各量子井戸は、特定のエネルギーレベルを持つ電子が次の井戸に進むことによってエネルギーを放出するように設計されています。これにより、電子は階段状にエネルギーを放出していきます。

利点

ICLは、量子カスケード構造を持つことで、電子がエネルギーをカスケード的に放出するメカニズムを利用しています。これにより、低い閾値電流での効率的なエネルギー変換が可能となります。

また、設計によって特定の波長帯域で発振するように制御できるため、特定の用途や応用に合わせて波長を選択することができ、高いスペクトル制御が可能となります。

応用例

以下に、ICLの応用例をいくつか挙げてみたいと思います。
1. 気体検知
ICLは、中赤外線領域での光源として特に有用です。特定の気体分子は、中赤外線領域で特有の吸収線を持っており、ICLを使用してこの領域での光を生成することで、気体の同定や検知が可能です。これは環境モニタリングや工業プロセス制御、有害ガスの検出などで応用されています。

2. 医療診断
中赤外線領域は、生体分子の特定の吸収帯域と対応しています。ICLを用いてこの領域での光を生成し、生体組織中の特定の分子を検知することができます。例えば、血液中の特定の成分の検出や医療イメージングでの応用が考えられます。

3. 光通信
中赤外線領域は、通常の光ファイバーが利用できない長距離通信や特定の用途において有用です。ICLは、この領域での高効率の光源として応用され、データ通信やセンシングアプリケーションで利用されています。

4. 軍事利用
先述した気体検知やセキュリティアプリケーションを利用して、軍事分野応用も行われています。例えば、有毒ガスの検出や目標識別などがこれにあたります。

5. 科学研究
中赤外線領域の光源としてのICLは、科学研究においても利用が見込まれています。分光学的な応用や素材の研究、化学反応のモニタリングなど、幅広い研究領域で使用されています。

参考文献

【加工】レーザによるシーム溶接

はじめに

今日は、最先端の溶接技術、微細レーザ溶接について深く掘り下げていきます。特に、「シーム溶接」という特殊な手法に焦点を当て、その効率性と精度について解説します。

シーム溶接とは

シーム溶接とは、基本的には、2つの金属板を一緒に溶接するための一連の点溶接のことを指します。これらの点は、連続的な「シーム」を形成します。伝統的なシーム溶接では、高電流が金属を加熱し、融合させます。

これに対して、レーザシーム溶接は、レーザの光束を使用して金属を加熱し、融合させます。この方法は、精密な制御と高い溶接速度を提供し、一般的には、自動車、航空宇宙、電子機器などの製造業界で広く利用されています。

そして、ここで「微細レーザ溶接」という特別な技術が登場します。その名の通り、微細レーザ溶接は非常に小さい部品の溶接に特化しています。これは、レーザの光源が特定のエリアのみを照射し、迅速に溶けて部品を結合するためです。この技術も、医療、自動車、航空宇宙などの産業で重要な役割を果たしています​1​。

微細レーザシーム溶接

微細レーザシーム溶接がどのように作用するか見てみましょう。微細レーザシーム溶接では、レーザビームが材料に照射され、材料が加熱されて溶け、シームまたは「溶接線」を形成します。溶接線は、材料が冷却されて固まると、2つの部品をしっかりと結合します。

製造業における生産の生産ラインでは、高速な溶接プロセスが必要とされています。微細レーザシーム溶接の優れた性能は、溶接が非常に正確であることだけでなく、溶接が迅速に行われるという特徴も製造に適しています。

さらに、微細レーザシーム溶接の技術として重要なのが、「コンダクションモード溶接」と「キーホールモード溶接」です。前者は低エネルギーを使用して広く浅い溶接を形成する一方、後者はその幅に比べて深い溶接を作成します。これらの方法はそれぞれ、結合される部品に応じて使い分けられます。

微細レーザシーム溶接の応用

では、微細レーザ溶接がどのような産業に利用されているのでしょうか。実際のところ、微細レーザ溶接はあらゆる産業で利益をもたらすことができます。航空宇宙、航空、医療、産業、核、防衛、海洋などの業界で一般的に使用されています。一般的な応用例としては、熱交換器、金属ボックス、ベローズ、金属チューブ、燃料レール、医療器具、歯科器具、コンプレッサ部品などがあります。

微細レーザシーム溶接の特長

微細レーザ溶接は、その高い精度と効率性により、多くの製造プロセスで重要な役割を果たしています。レーザの直接的かつ迅速な熱源と素早い冷却が、変形や損傷の影響を低減します。

さらに、平面だけではなく立体形状へも利用可能であるため、非常に便利です。これにより、正確に行われたときには、どんな部品でも最も信頼性の高い結合が可能となります。

レーザ溶接と微細レーザ溶接を比べた場合、微細レーザ溶接は、非常に精密な制御と低いワット数を組み合わせて、最小の部品に対しても精密な溶接を高効率、低コストで可能にします。

さいごに

微細レーザ溶接は、高精度と高効率、低コストを最大のメリットとする特徴的な加工方法です。この応用範囲はさらに広がりを見せると考えられます。

光通信における微細レーザー溶接の利用

はじめに

光通信においても、微細レーザー溶接技術が使われています。微細レーザー溶接は、高速で信頼性の高いデバイスの製造やコンポーネントの組み立てに利用されています。以下に光通信分野での微細レーザー溶接の利用例を示します。

製造技術例

ファイバーコネクタの製造:

光ファイバーコネクタの製造において、ファイバーとコネクタの精密な結合が求められます。微細レーザー溶接は、ファイバー端面とコネクタの端面を正確に接合するために使用されます。これにより、低損失で高品質な信号伝送が実現されます。

光モジュールの製造:

光通信機器内の光モジュールの製造においても微細レーザー溶接が利用されます。光送信部分や光受信部分の微細な部品の組み立てや接合に使用され、高い信号品質と安定性が確保されます。接合は、樹脂などで行われる場合が多いです。

レーザーダイオードの製造:

光通信機器に使用されるレーザーダイオード(LD)の製造においても微細レーザー溶接が利用されます。異なる部品や層を高精度に結合することで、高性能なレーザーダイオードを実現します。特に、金属の封止材料等の溶接に多用されます。

ウェーブガイドの接合:

光導波路やウェーブガイドを接合する際に微細レーザー溶接が使用されます。これにより、光信号の伝送や分配において低損失で高い効率を実現できます。また、導波路そのものをレーザーにて加工する研究開発も進められています。

光スイッチの製造:

光スイッチは光信号の切り替えや制御に使用される重要なデバイスです。微細レーザー溶接を使用して、光スイッチ内の微細な部品や導波路を高精度に接合することで、信号の効率的な切り替えが可能となります。

AWG(Arrayed Waveguide Grating)の製造:

AWGは多重波長光信号を分散させるデバイスで、光通信ネットワークで広く使用されています。微細レーザー溶接は、AWGの製造プロセスで導波路の接合や位置調整に使用されます。

最後に

このように、微細レーザー溶接は、光通信機器の高性能化や信頼性の向上に貢献する重要な技術として広く活用されています。

【加工】微細レーザー溶接と3Dプリンター技術の組み合わせによる革新的な製品製造

はじめに

製品製造の世界では、技術の進歩によって新たな可能性が広がっています。その中でも、微細レーザー溶接や精密3Dプリンターなど微細な加工を行う技術は特に注目されています。

これらの技術を組み合わせることにより、さらに複雑な構造や多様な素材を持つ製品の製造が可能となり、既存の考えにとらわれない柔軟な形状の部品の加工や、修復や改修も実現できる道筋が見えてきました。

本記事では、今、注目されている微細レーザー溶接と3Dプリンター技術の組み合わせによる製品製造の特長について探っていきます。

技術

微細レーザー溶接と精密3Dプリンターは、それぞれが単独でも魅力的な技術です。

微細レーザー溶接では、従来よりかなり小さな部品を溶接できます。トレンドとなっている大出力レーザーではなく、小出力高精度レーザーを用いることで微細な溶接を実現できます。多くは、パルスモードのファイバーレーザーや短パルスレーザーなど、極々微小な時間で加工を完了させるレーザー光源を用います。

一方、金属粉末を焼結させて造形する3Dプリンタは、層を積層させるようにして立体構造を作り上げていきます。ステンレスなどの金属粉は数十㎛と微小で微細な構造体を作ることができます。金属粉体の溶融には、同じくレーザーを用いますが、こちらは連続発振のレーザーを走査して任意の層構造を実現しています。

これらを合わせることで、柔軟な立体形状を型を用いることな多品種大量に低コストで実現できます。

3Dプリンターで造形した部品を微細レーザー溶接で接合したり、逆に、微細レーザー溶接で接合した部品をさらに3Dプリンターで追加造形することが検討されています。

特徴

以下のような特徴があります。

  1. 複雑な構造の実現: 3Dプリンター技術は、コンピューター制御の層積重ねにより製品を作り出す革新的な方法です。この技術を微細レーザー溶接と組み合わせることで、複雑な形状や内部構造を持つ製品を実現することができます。たとえば、医療機器や航空機部品など、厳密な要件を持つ製品において、高度なデザインと機能性を兼ね備えた製品を作り出すことが可能です。
  2. 素材の多様性と耐久性: 3Dプリンター技術は、様々な種類の素材を使用して製品を作成することができます。また、微細レーザー溶接によって異なる素材同士を溶接することができるため、複合素材や異種素材の組み合わせによる製品を製造することができます。この組み合わせによって、製品の耐久性や強度を向上させることができます。さらに、素材の選択肢が広がることで、製品の特性に合わせた最適な素材を選ぶことができます。
  3. 修復と改修の容易さ: 微細レーザー溶接と3Dプリンター技術の組み合わせにより、既存の製品の修復や改修が容易になります。破損した部分をレーザー溶接で修復したり、新しい部品を3Dプリンターで作成して交換することができます。これにより、製品の寿命を延ばすだけでなく、カスタマイズやアップグレードも容易に行うことができます。製品の修復や改修が簡単に行えることで、継続的なメンテナンスや製品のアフターサービスもスムーズに行えます。

さいごに

微細レーザー溶接と3Dプリンター技術の組み合わせは、製品製造における革新的な手法です。複雑な構造の製品の実現や多様な素材の利用、修復と改修の容易さなど、さまざまな特長があります。この組み合わせは、製品のデザインや機能性を向上させるだけでなく、効率的な製造プロセスを可能にします。今後の技術の発展とともに、微細レーザー溶接と3Dプリンター技術の組み合わせがますます重要な役割を果たすことが期待されます。

【加工】レーザによるスポット溶接

はじめに

溶接は、2つ以上の材料を結合するための手法であり、多くの産業で広く利用されています。しかし、その溶接にはサイズ的に大小さまざまなスケールが存在しています。その中でも微細レーザ溶接と(電気的なマクロな)スポット溶接は特に興味深い比較対象となります。

スポット溶接

形態と方法

溶接形態には様々ありますが、その中でもスポット溶接とは、金属を溶接するための一般的な方法で、2つの金属片の接触部分をスポット(点)で加熱し、金属を溶かし、一体化させる方法です。通常は電気で加熱することが行われます。

溶接手法の点では、微細レーザ溶接があります。これは、名前の通り、レーザ光を用いて微細な溶接を行う方法です。この技術は、繊細な部品や高精度を必要とするアプリケーションにとって最適であり、微細で精密な加工ができるレーザの特長をいかした溶接手法と言えます。

電気を用いたスポット溶接と微細レーザスポット溶接の違いは、使用するエネルギー源とその精度にあります。電気的なスポット溶接は電気を使用し、微細レーザ溶接はレーザ光を使用します。

電気的なマクロなスポット溶接は、溶接棒を接触させて加工します。スポットサイズがmmレベル以上と大きく、その形状の精度も高くありません。

一方で微細レーザスポット溶接は、非接触レーザを使用して金属を溶接する非接触プロセスです。レーザは、正確で再現性のあるエネルギーと持続時間を制御できます。このレーザ光が部品上の一点(1mm以下でも制御可能)に集中すると、エネルギー密度は非常に大きくなります。この光エネルギーは材料に吸収され、焦点を当てたビームが金属の一部を穿孔し、蒸発させ、溶融させる「キーホール効果」を引き起こします。レーザ照射が終わると、キーホール周辺の溶融金属が戻り、固化して小さなスポット溶接を作り出します。この全過程は数ミリ秒しかかかりません​1​。

レーザは毎秒多くのパルスを放つことができ、作業物や光学部品を移動させることで、別々の「スポット」溶接または一連の重なるスポット溶接を作り出すことができます。これを連続的に実施することで密閉されたレーザシーム溶接を作成することが可能です​1​。

このように、微細スポット溶接では、幅が0.1nm以下と微小な範囲の溶接に威力を発揮します。また、深さの調整も可能で、nm~mmオーダーまで幅広い特長があります。加工速度も速く、溶接速度は数メートル/秒と高速です​1​。

この技術は幅広い範囲の材料に適用できることも特長です。例えば、鉄鋼、ニッケル合金、チタン、アルミニウム、銅などの金属、PET、PEN、アクリルなどの樹脂も溶接できます。

応用例

微細レーザスポット溶接の典型的な応用例としては、100マイクロスポット溶接以下のコイル溶接、銅タブをスチールバッテリー缶への高速溶接、ワイヤーのリングスポット溶接、医療器具の溶接などがあります​1​。

レーザスポット溶接は一般的なレーザ溶接と比べて、更に精密な操作が可能であり、その結果としてより微細な部品の結合が可能になります。電子部品や医療機器など、微細な部品を使用する産業にとって非常に価値があります。これが、微細レーザ溶接が高付加価値を生み出すと言われる理由です。

さいごに

微細レーザスポット溶接は、通常の電気的なスポット溶接より、微細な範囲を正確に溶接できる特徴があります。そのサイズ、高速性から付加価値の高い溶接方法であると言えます。

マイクロエッヂプロセス株式会社では、レーザ微細溶接を得意としております。ご要望がありましたら、お気軽にお問合せください。