レーザ

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【レーザ】色素レーザ

概要

色素レーザ(ダイレーザ)は、レーザ媒質が色素を含んだ液体のレーザで、毛細血管拡張症やいちご状血管腫などを治療するために使われるレーザ機器です。皮膚の医療目的で多く用いられます。大まかなな仕組みとしては、赤色への吸収率が高い585nmの波長を用いて血管の異常を治療します。

ここでは、医療応用例をメインにその特長等を紹介します。

原理

治療の原理

色素レーザは、次のようなメカニズムで血管病変を治療します。

1.赤血球の酸化ヘモグロビンにレーザが吸収される

2.吸収されたレーザの光が熱エネルギーに変わる

3.赤血球が発熱して周囲の毛細血管を損傷させる

4.損傷した毛細血管は塞がる

5.熱で破壊された血管は正常な組織におきかえられる

この治療では、1回の治療ですべての血管を治療することはできません。そのため3~5回治療を繰り返す必要があります。

治療が有効な症状

いちご状血管腫 :未熟な毛細血管が増殖してできる赤あざ

単純性血管腫 :産まれた時にある平坦な赤あざ

毛細血管拡張症 :飲酒などで拡張した毛細血管が戻らずに起こる赤ら顔などの症状

老人性血管腫 :毛細血管が増殖しほくろのように見える腫瘍

炎症性ニキビ :顔・首・下あごなどに広範囲に広がる赤ニキビ

歴史

色素レーザという名前は、そこまで特別なことではなく、実は昔はすべてのレーザが色素レーザでした。というのは、レーザの原理がすべて同じだったからです。有色の化合物を用いていたので色素という名前が用いられていましたが、無色の化合物を含めて「 色素」 とい う言葉を用いるようになっています。

参考

【レーザ】He-Cd レーザ

概要

He-Cdレーザとは、ヘリウムとカドミウムをガスとして用いたガスレーザの一種です。紫外線(325 nm)や青色光(441.6 nm)を出力することができ、比較的安価でありながら高い出力を持つことから、科学研究や工業分野などで幅広く利用されています。

He-Cdレーザの原理は、ヘリウムガスを励起させてエネルギーを与え、そのエネルギーをカドミウム蒸気に伝えることでカドミウム原子を励起状態にします。そして、励起されたカドミウム原子が放出する光が共振器内で反射・増幅されることによって、レーザ光を発生させます。

He-Cdレーザは、波長が紫外線に近いため、顕微鏡や顕微探針、光学式デジタルディスク、蛍光分光法などの分野で利用されています。また、照明や医療機器などでも使用されており、近年ではレーザ加工分野でも活用されています。

原理

He-Cdレーザの原理は、ヘリウムとカドミウムをガスとして用いたガスレーザの一種で、以下のような過程でレーザ光を発生させます。

  1. ヘリウムガスを放電させて励起状態にすることで、ヘリウム原子にエネルギーを与えます。
  2. 励起されたヘリウム原子が、カドミウム原子と衝突してエネルギーを伝達し、カドミウム原子を励起状態にします。
  3. 励起されたカドミウム原子は、そのエネルギーを放出するために光を放出します。
  4. 光が反射鏡の間を通り、同じ波長の光と干渉することで、増幅されます。
  5. 最終的に、レーザ光が共振器から出射します。

応用

He-Cdレーザは、波長が紫外線や青色光に近いため、分光法や光学式デジタルディスク、医療機器などの分野で幅広く利用されています。また、比較的安価でありながら高い出力を持つため、研究分野や産業分野での利用が広がっています。

歴史

He-Cdレーザは、1960年代に開発されたガスレーザの一種です。当初は、光通信分野において、データ転送用の光源としての利用が期待されましたが、光ファイバーの発明によりその需要は減少しました。その後、分光法や医療機器などの分野で利用されるようになりました。

1967年、アメリカの物理学者であるW・J・アルバースハイマーは、He-Cdレーザの発光機構を研究し、レーザ光を紫外線領域まで拡張することに成功しました。その後、1970年代には、アメリカやドイツなどでHe-Cdレーザの商用化が進み、分光法や医療機器などの分野で幅広く利用されるようになりました。

1990年代以降は、He-Cdレーザの発光効率の向上や波長安定性の向上などが進み、光学式デジタルディスクや照明などの分野でも利用されるようになりました。しかし、He-Cdレーザの波長が紫外線に近いため、使用する際には適切な保護装置を備える必要があります。近年では、He-Cdレーザの代替技術として、半導体レーザや固体レーザなどが普及しています。

今後の展開

He-Cdレーザは、分光法や医療機器、光学式デジタルディスクなどの分野で幅広く利用されてきましたが、近年では代替技術の普及により、その需要は減少しています。

しかし、以下のような可能性があるとされています。

  1. 生体医療分野での利用:He-Cdレーザは、紫外線や青色光に近い波長を持ち、光散乱や吸収が少ないため、生体内部への浸透性が高いとされています。そのため、生体組織の切除や加熱、細胞の処理などに利用される可能性があります。
  2. 環境分野での利用:He-Cdレーザは、水中の微生物や有害物質の検出に利用されることがあります。さらに、He-Cdレーザを用いた光触媒によって、有害物質の分解や空気浄化が可能とされています。
  3. 研究分野での利用:He-Cdレーザは、比較的安価でありながら高い出力を持ち、幅広い波長領域をカバーすることができます。そのため、研究分野での利用が期待されています。
  4. 特殊な用途での利用:He-Cdレーザは、極低温下でも動作することができるため、量子コンピューターや量子通信などの分野で利用される可能性があります。

さいごに

He-Cdレーザは、強い紫外光を出せるため、非常に期待されたレーザでした。しかし、種類によっては毒性のあるカドミウムを使用しているため、環境に対する影響や取り扱いには注意が必要でした。また、代替技術の普及により、需要が減少しているという面もあります。今後、普及させていくには、メリットを最大限に活用できる応用先を模索する必要がありそうです。

参考

【レーザ】レーザクリーニング

概要

レーザクリーニングは、レーザ光を除去対象物に照射することによって、レーザの特長である高いエネルギー集光能力を活用して、物質の蒸発及び衝撃圧力によって、除去対象物を母材表面から剥離する、洗浄方法のことです。

この洗浄方法で一番大切なことは、レーザの強度です。除去したい領域にどれだけのエネルギーを充てるかがクリーニングの性能によります。要求される洗浄品質によりますが、レーザ強度によっては母材を損傷させてしまうこともありますので、その調整には非常に神経が必要です。

多くの場合、一度設定を決めてしまえば、レーザの再現性のため、再調整はほとんど必要なく、最適なクリーニングができます。

構成

レーザクリーニングは、レーザ照射を使用し母材のサビ、コーティング、汚れなど密度が低いものを除去するの洗浄方法です。

最も重要な構成要素は、レーザです。母材の密度や反射率等に応じて、最小限のダメージしか与えないようなレーザを選択します。波長や強度、パルス等が選択要素となります。

次に走査装置を検討します。多くの場合、ガルバノスキャナのようなデバイスを用いて高速にレーザを走査します。その走査速度やタイミング、方向等もクリーニングの性能に影響を与えます。

構造としては、手にレーザヘッドを持ってレーザ照射範囲を移動させるハンディタイプや、装置の中に組み込んでロボット等がレーザヘッドを走査するタイプもあります。

特徴

レーザクリーニングプロセスは、溶剤や水などを用いないドライ環境でのクリーニングになることが大きなメリットです。廃棄物の処理を必要とせず、非接触加工であるため、適正なレーザ照射条件を選定さえすれば、母材を傷つけずにクリーニングを行うことが可能です。

しかし、母材のダメージのリスクもあります。テスト加工を十分に行い、ダメージを最低限に抑えます。

装置のコストも高いですが、クリーニング内容によっては、十分に効果的な場合があります。

用途

  • 錆おとし・表面クリーニング
  • 印刷&包装用ローラのクリーニング
  • 表面処理の前処理
  • コーティングの除去、グリース除去、酸化膜除去、塗料除去

さいごに

レーザクリーニングは、従来の洗浄方法と全く異なるプロセスです。初期コストが高くなりがちですが、メリットが多い技術です。また、しかしランニングコストが非常に低く、ほぼ電気代だけとなっています。加工行程も少ないので専門知識がなくても扱うことができるという点での魅力もあります。

参考

【レーザ】液体レーザ

概要

液体レーザは、媒質が液体であるレーザです。代表的な例が色素レーザーですが、そのほかにも無機液体レーザーやキレートレーザーなどがあります。しかし、実用化されている殆どの液体レーザーは色素レーザーとなっています。

構成

色代表的な例である素レーザーは、媒質として色素分子を有機溶媒に溶かした有機色素を用いて構成されています。

特徴

液体レーザーには大きく4つの利点があります。

  • 1つは媒質が液体であることにより、任意の大きさの光学的に均一な媒質が安価に得られる点です。
  • 2つ目は循環によって冷却や劣化した媒質の除去が容易にできる点です。
  • 3つ目に、成分の濃度や混合比、添加物などが自由な調整が可能なことです。
  • 最後に、液体レーザーでは活性中心の波度が気体にくらべると高く、小型で高利得・高出力が得ることができます。これに関しては個体レーザーにも共通した特徴と言えるでしょう。

歴史

色素レーザーは波長可変レーザーとして最も早く実用化したため、1970年代から1990年代にわたって,レーザー分光学の発展に大きく貢献しました。1990年代以降は、Ti:サファイアレーザーや光パラメトリック発振器のような固体化された波長可変デバイスが発達し、色素レーザーの用途はしだいに狭まってきています。

応用例

分光測定や分析、超短パルスの光源などで利用されています。

参考

【技術】自動車産業での微細レーザ溶接の応用

自動車産業において微細レーザ溶接は広範に活用されています。以下に、その主な利点と具体的な応用例をいくつか紹介します。

利点

1. 高い精度と制御性

微細レーザ溶接は非常に高い精度と制御性を持ち、微細な溶接点や接合部を作ることができます。レーザパラメータや条件の適切な設定、自動化された制御システムの導入により、一貫性のある品質と高い製品信頼性を確保し、これにより高品質な溶接が可能となり、製品の強度や耐久性を向上させることができます。

2. 高速な溶接

微細レーザ溶接は、熱エネルギーを狭い領域に集中させるため、高速な溶接を実現できます。これにより、生産性を向上が期待できます。

3. 非接触の溶接

従来の溶接方法では、溶接材料に直接触れて加熱や圧力を与える必要があり、歪みや損傷などのリスクが伴っていました。しかし、微細レーザ溶接は非接触で行われるため、被溶接材料への損傷や歪みを最小限に抑えることができます。また、微細な部品や複雑な形状の接合にも適しています。

4. マテリアルの適用範囲

微細レーザ溶接は、さまざまな材料に適用することができます。自動車産業においては、鋼材、アルミニウム合金、チタン合金などの金属材料に加えて、プラスチックや繊維強化複合材料なども溶接の対象となるため、微細レーザ溶接は非常に有効な溶接手法となります。このように、様々な材料に適用できることは大きなメリットです。

具体的な応用例

1. ボディパネルの接合

自動車のボディパネルの一部は、微細レーザ溶接によって接合されることがあります。ボディパネル同士の接合部や部品の取り付け箇所など、高い強度と美しい仕上がりが求められる場所で使用されます。

2. バッテリーパックの製造

電気自動車やハイブリッド車などのバッテリーパックの製造においても、微細レーザ溶接が活用されています。バッテリーセルや接続部の溶接に使用され、電気的および機械的に安定かつ高精度な接合を実現します。微細レーザ溶接のメリットが活かせる応用です。

3. エンジンコンポーネントの組立

自動車のエンジンコンポーネントにおいて、微細レーザ溶接は部品の組立や接合に使用されます。エンジンのシリンダーヘッドやバルブ、燃料噴射システムの部品など、高い精度と強度が求められる箇所で利用されます。

4. インテリア部品の製造

自動車のインテリア部品にも、微細レーザ溶接が使用されることがあります。ダッシュボードやシートの組立、デザイン要素の取り付けなど、微細な接合や装飾が必要な箇所で活用されます。

まとめ

微細レーザ溶接は、自動車産業において高品質な溶接を実現し、製品の性能や耐久性を向上させる重要な技術です。これにより、接合品質の向上、車体の強度や耐久性の向上、電子部品やエンジン部品の信頼性の向上など、さまざまな利点をもたらします。

【光学デバイス】音響光学素子(AOD)

概要

音響光学素子(Acousto Optic Device)は、レーザ装置内などで使われるデバイスで、強度変調あるいはビーム位置の電気的制御を行います。音響光学素子は、結晶を圧電素子で振動させ、結晶の中に疎密の定常波を作り、これを回折格子として利用する素子です。このときできる格子幅は結晶にかける振動周波数で制御できるため、できた回折格子で曲げられる光の角度も制御できます。回折格子を作るために結晶にかける振動の周波数は数十MHzから数百MHzで、それを数十kHz変調することで、ビームの高速のスキャンも可能です。

原理

ある媒体内にレーザ光線と音響波が存在するとき、すべての光学媒体において音響光学効果が起こります。音響波が光学 媒体中に入ると、正弦格子(グレーティング)のように作用するある屈折率を持った波が生じます。
入射レーザ光がこのグレーティングを通過するとき、いくつかの次元(オーダー)に回折されます。回折現象とは2本以上の接近したスリットにレーザー光線などを当てると、隣のスリット同士から出る光が干渉し合い、一定の方向の光が強くなる現象です。適切に素子を設計すれば、1次回折光線に最大効率を持たせることができます。この光線は高い周波数ほど偏向角は大きくなります。

構造

様々な音響光学媒体の選択は、波長(光学透過範囲)、偏光、パワー密度などのレーザのパラメータにより決定されます。
音響光学媒体として、可視および近赤外領域では、主にガリウムリン、二酸化テルル、インジウムリン、カルコゲナイトガラスや溶融石英が使用されます。一方の、赤外領域では、ゲルマニウムが使われます。
AOMで使用される結晶は、光学研磨され金属圧縮接着により接合されます。デバイスとして、1GHz レベルの共振周波数まで入力できるようになっています。

応用

開発当時、音響光学素子は、おなじく開発が進む光ファイバー通信で主にスイッチとして脚光を浴びていました。2つのファイバー間にAOMを入れ、AOMをオン/オフすることで光の方向が変わるため、スイッチとして利用できました。
また、別の応用として、AODを使ったレーザー顕微鏡もありました。この顕微鏡は、機械的なミラーのスキャン方式が発表されるまで、世界で唯一の動画観察ができる共焦点レーザー顕微鏡でした。スイッチとして使う場合は、問題となりませんでしたが、レーザー顕微鏡の光源として使用するには、スキャンの均質性やデバイスの物理的な大きさが課題となりました。また、ミラーと違い、点光源から出た光を点光源に戻すこと(デスキャン)ができません。ミラーなら点光源から出た入射光を走査させても、反射光は同じ経路を戻ります。AOMの場合も光学部品を追加して、点光源に戻すことができますが、反射光の経路が通る光学部品の数が多くなれば、それだけ歪みが増えて、部品点数が増えるという欠点もありました。

さいごに

AODは、高速性を有する光路制御デバイスです。

開発当初は、主にレーザーのスイッチングとして注目を浴びたり、動画観察ができるレーザー顕微鏡つぃて利用されました。今後は、ハイスピードカメラや高速なパルス信号を送るデバイスとしての活躍もあるかもしれません。

参考

【技術】EUV

概要

EUV(Extreme Ultraviolet)とは、極端紫外線を利用した光学技術の一つで、その波長が 13.5nm と非常に短い光のことを指します。EUV 技術は、半導体製造、リソグラフィ(微細加工技術)、顕微鏡技術、プラズマ研究など、さまざまな科学技術分野で重要な役割を果たしています。しかしながら、その技術的難易度は非常に高く、EUV 露光に必要な装置・部材を供給できる企業は非常に少ないのが現状です。

EUV技術の重要性

EUV技術は、半導体製造の微細加工プロセスにおいて特に重要です。半導体製造における露光工程では、シリコンウェハー上の狭い範囲に複雑な回路を書き込む必要があります。加えて、近年の技術革新に伴い、半導体に書き込む回路が複雑さは増し、同時にチップサイズの小型化のニーズも高まっており、従来よりもさらに短い波長の光源が求められています。EUV リソグラフィを用いることで、このような極めて微細なパターンを半導体ウェハーに書き込むことが可能になります。

歴史

これまで半導体業界では、露光装置の光源を波長の短いものへと変更し続けてきました。過去には、g(水銀)線(波長436nm)、ArF(アルゴン・フッ素)線(波長193nm)など、様々な物質を光源とした露光技術が導入されてきました。その最終形が EUV です。EUV を用いた露光は、7nm 以降の微細回路パターンをシリコンウェーハ上に転写するための技術として、2019年に台湾のTSMCによって初めて量産投入されました。

EUV露光の難しさ

波長が 13.5nm と極端に短い EUV 光を、従来のレンズ方式の露光装置で転写しようとすると、レンズや空気中の成分で吸収されてしまい、ウェーハ上のフォトレジストまで届かなくなってしまいます。このため、EUV 露光では光が通る経路を真空にして、なおかつ照明光学系にミラーを導入し、レンズはパターン縮小に用いる投影光学系に限定して、吸収を最小化する必要があります。

EUVの光源

EUV リソグラフィには、極端紫外線を生成する光源が必要です。これには、プラズマ放電などを使用して EUV 光を生成する装置が使用されます。

さいごに

EUV 技術は、半導体製造だけでなく、X線リソグラフィ、顕微鏡技術、プラズマ研究、リソグラフィの基礎研究など、さまざまな分野で利用されています。しかし、EUV 技術は、微細加工と高性能デバイスの製造において非常に重要であり、半導体業界などの先端技術分野で広く使用されています。新しい製品の開発や性能向上に期待が高まります。

# 参考
需要が増えている半導体製造へのEUVの利用と日本の現状
半導体の微細化に不可欠なEUV露光技術の現状とこれから

【技術】アクロマートレンズ

https://chat.openai.com/share/3dfe0c02-4896-44bf-b632-13d834bf5c0b

概要

アクロマートレンズ(Achromatic Lens)は、レンズの一種であり、主に色収差を補正するために設計されています。色収差とは、レンズに入射する光の色(波長)によって屈折率が異なるため、結像位置にずれが生じる現象を指します。アクロマートレンズは色収差を最小限に抑え、高品質な画像を提供可能なため、この特性は望遠鏡、顕微鏡、カメラレンズなど、色収差の影響が重要な光学機器において利用されています。

特徴

アクロマートレンズの主な特徴を以下に挙げます。

  1. 広い波長範囲の補正
    アクロマートレンズは通常、可視光スペクトルだけでなく、赤外線や紫外線などの広い波長範囲にわたって色収差を補正するように設計されています。
  2. 高光学品質
    アクロマートレンズは高品質な光学素材を使用しており、優れた光学性能を提供します。これにより、像の歪みやぼけを最小限に抑え、高解像度の画像を生成します。
  3. 多様な応用
    アクロマートレンズは望遠鏡、カメラ、顕微鏡、プロジェクターなど、色収差が重要な役割を果たす光学機器のさまざまな応用に広く使用されています。
  4. 設計の複雑性
    アクロマートレンズの設計は複雑で、異なるガラス材料の特性や厚さ、曲率などを考慮する必要があります。これにより、色収差を最小化し、高品質な画像を実現できます。

原理

アクロマートレンズは、主に2つの異なるガラス材料を組み合わせて、色収差を補正するように設計されています。色収差は、光が異なる波長によって異なる程度で屈折する性質によって引き起こされます。

この差異があると、焦点が異なる波長に対してずれ、色収差が生じることになります。

2つのガラス材料は通常、一つの凸面レンズ(正の屈折力を持つ)と一つの凹面レンズ(負の屈折力を持つ)を組み合わせて構成されます。これらのレンズは異なるガラス材料で作られており、それぞれ異なる屈折率を持っています。


まず、異なる屈折率を持つ2つのガラス材料により、異なる波長の光がレンズを通過する際に、屈折率の差異を利用して色収差を補正します。さらに、凹面レンズと凸面レンズが組み合わさることで、異なる波長の光が焦点で同じ位置に収束するようになります。これにより、色収差が相殺され、白色光に対してほぼ無色でシャープな像を得ることができます。またアクロマートレンズの設計は、波長に対する屈折率の関数として行われます。これにより、広い波長範囲で色収差を最小限に抑えることが可能です。

応用例

アクロマートレンズは、その色収差の補正能力からさまざまな光学機器で幅広く使用されています。以下に、その主な応用例を挙げます。

  1. 望遠鏡
    望遠鏡では、天体の観察において高い解像度が求められます。アクロマートレンズは、星や惑星などの微細な詳細を鮮明に観察することが可能なため、高品質な天体観測が可能です。
  2. カメラレンズ
    アクロマートレンズは、一眼レフカメラやミラーレスカメラなどのカメラレンズにも広く使用されています。色収差の補正により、写真やビデオの撮影において色の再現性が向上し、高品質な映像が得られます。
  3. 顕微鏡
    顕微鏡では、微生物や細胞の詳細な観察が必要です。アクロマートレンズは、顕微鏡の対物レンズとして使用され、色収差の補正により鮮明で精密な画像を提供します。
  4. プロジェクター
    プロジェクターにおいても、アクロマートレンズは色収差の補正は有効です。プロジェクターの光学系において、色収差が発生すると投影される画像が不鮮明になりますが、アクロマートレンズを使用することで色のズレを最小限に抑え、クリアで鮮明な投影が可能です。
  5. 天体写真撮影
    アマチュア天文愛好者は、アクロマートレンズを使用して天体写真を撮影することがあります。特に月や惑星などの天体の撮影において、色収差の補正が重要です。
  6. 測定器および光学機器
    色収差の影響が問題となる光学機器や測定器でもアクロマートレンズが利用されます。これにより、正確で信頼性の高い測定が可能になります。

今後の展望

アクロマートレンズは、光学機器において色収差の補正と高い光学性能を提供する重要な要素です。今後、アクロマートレンズやその他の補正技術においていくつかの進展が期待されます。

  • 新しい材料の採用
    新しい光学材料の開発や改良により、より効果的な色収差の補正が可能になるかもしれません。高性能なガラスや合成材料の進化が、アクロマートレンズの設計と性能向上に寄与するでしょう。
  • 高度な補正技術の導入
    従来のアクロマートレンズは非常に優れていますが、色収差をさらに抑制するための高度な補正技術の導入が期待されます。これにより、より高い解像度や色再現性が可能になります。
  • デジタル技術との統合
    デジタル画像処理技術が進展する中で、アクロマートレンズとデジタル技術の組み合わせにより、より高品質で補正された画像が得られるようになるでしょう。デジタル補正により、さらなる色収差の最小化や他の光学的な異常の補正が可能になります。
  • 軽量・コンパクト化
    光学機器の需要はますます軽量・コンパクト化の方向に進んでいます。アクロマートレンズもこれに対応し、軽量かつコンパクトなデザインが求められるでしょう。
  • 新たな応用分野への適用
    アクロマートレンズの技術は、新たな応用分野にも適用される可能性があります。例えば、バーチャルリアリティ(VR)や拡張現実(AR)デバイス、自動車のセンシングやカメラシステムなど、幅広い領域での活用が期待されます。

参考文献

【技術】テラヘルツ波

概要

周波数で100GHz~10THz、波長が3mm~30μmをテラヘルツ(THz)波と呼びます。光と電波の中間に位置しており、可視光線とマイクロ波の間の領域に相当します。一部の物質に対して透過性が高いため、紙、プラスチック、布などの一般的な材料を透過して物質の内部情報を取得することができ、これは非破壊検査や医療画像診断に利用されています。

原理

テラヘルツ波の生成と検出にはいくつかの方法があります。はじめに、その生成方法について紹介します。

  1. 光パルス法(光検出法)
    一般的な方法の一つは、フェムト秒またはピコ秒の超短パルスのレーザを使用してテラヘルツ波を生成する方法です。この方法では、レーザーパルスがテラヘルツ放射を引き起こすため、テラヘルツ波が発生します。このテクニックは光検出法とも呼ばれます。
  2. 光整合法(光学整合法)
    光整合法は、非線形結晶などの光学的整合材料を使用して、二つの異なる光波を組み合わせてテラヘルツ波を生成する方法です。このプロセスは、高い光整合度を持つ結晶を使用して非常に高い周波数の波を生成することが可能です。
  3. 光伝播法(放射法)
    他の手法として、高い電場の光を物質に照射すると、物質が非線形応答を示し、その結果としてテラヘルツ波が発生することがあります。この方法は光伝播法として知られています。

次に、テラヘルツ波の検出方法について紹介します。

  1. 非線形光学効果を利用した検出
    テラヘルツ波は一般的に検出が難しいため、非線形光学効果を利用して検出されることがあります。これには、光検出法と同様に、光学的整合材料や非線形結晶を使用することが含まれます。
  2. アンテナを使用した検出
    テラヘルツ波を検出するためには、適切なアンテナが必要です。特に、微小な結晶や金属のアンテナを使用して、テラヘルツ波を効果的に検出することができます。

応用例

テラヘルツ波の周波数帯は光の特徴である直進性やミラーやレンズによる取り回し易さ、電波の特徴である様々な物質に対する透過性を併せ持っているため、計測や検査に注目されています。以下にその応用例をいくつか紹介します。

  1. 組織の特性の調査
    テラヘルツ波は、生体組織において水分や脂肪などの特性を検出できるため、医療画像診断に利用されます。がんなどの疾患の早期検出や、組織の異常な変化の追跡が可能です。
  2. 材料の特性評価
    テラヘルツ波は多くの物質に対して透過性があり、金属、プラスチック、ガラスなどの材料の内部構造や異常を非破壊で評価できます。これは工業や建設分野での利用が期待されます。
  3. 高帯域通信
    テラヘルツ波は非常に高い周波数を持っており、これを利用して高帯域通信が可能です。将来的には、テラヘルツ通信が5G以上の通信規格として登場する可能性があります。
  4. 物質の特定
    テラヘルツ波は物質の異常な特性を検出できるため、セキュリティスクリーニングや爆発物の検知に応用されます。例えば、荷物やコンテナの中の異常な物質を特定するのに使用されます。
  5. 食品の品質評価
    テラヘルツ波は、食品の水分や油分などの特性を測定するのに適しています。これにより、食品の品質評価や異常検出が可能となります。
  6. 分子の振動スペクトル
    テラヘルツ波を使用することで、分子の振動スペクトルを観察できます。これにより、分子の構造や化学反応の進行状況を非破壊で調査することが可能です。

参考文献

【レーザ】UVレーザ

概要

UVレーザはその波長が基本波長レーザの1/3であるレーザです。その波長が紫外線と同じ領域のため「UVレーザ」と呼ばれています。

構成

1,064nmの基本波長を非線形結晶に通して変換された532nmの波長に基本波長を合わせ、さらにもう1つの単結晶を通過させることで355nmの波長に変換します。

特徴

先述したように、UVレーザの光の波長は基本波長レーザ(1,064nm)の約1/3(355nm)です。この波長は、紫外線領域であることから「UVレーザ」と呼ばれます。

各素材に対して吸収率が非常に高く、熱ダメージを与えない印字や加工が可能なため、高い発色性や製品へのダメージを抑えた加工が求められる用途に最適です。つまり、必要以上にパワーを上げることなく、視認性の高いマーキングが可能となります。金、銀、銅をはじめとする反射率の高い材質に対しても吸収率が高く、熱ダメージを与えません。そのため煤やバリを抑制し、表面を破壊しない耐腐食性の高い印字・加工が可能です。基本波長レーザでは、封止樹脂部を透過して内部にダメージを与える懸念がありますが、UVレーザなら、高い吸収率で内部への透過を抑制することができます。

また、UVレーザは波長が短いため、レーザをレンズで集光した際に集光径をより小さくでき、微細な加工が可能です。一般的にレーザはレンズで集光すると、レーザの波長程度まで絞ることができます。したがって波長の短いレーザほど、微細な加工が可能となります。

一般に光のエネルギーはレーザの波長に反比例します。波長が短いという特徴はエネルギーの観点からも有益です。つまり、波長の短いUVレーザは波長の長いレーザに比べて、光エネルギーが高くなります。そのため、高効率な加工が可能となります。特に樹脂の有機結合を切断する点で有利であり、樹脂の高品質加工には、UV領域のレーザが多用されます。

応用例

UVレーザは、その波長の短さから光のエネルギーが高いという特徴があります。そのため、世界で最も硬い物質で知られるダイヤモンドも、UVレーザのエネルギーを直接吸収して加工されます。

またサファイアはYAGレーザではレーザー光が透過してしまい加工ができませんが、UVレーザでは光のエネルギーが高いため、レンズで集光することにより吸収が起こり、加工することが可能となります。

CO2レーザでも格子振動による吸収が起こりサファイアの加工は可能ですが、熱的な加工となるため、クラックや熱影響層の大きな加工となります。

参考

1. UVレーザーマーカー | 基礎知識 | マーキング学習塾 | キーエンス

2. UVレーザー加工|Orbray株式会社

3. レーザー加工機の種類やレーザーの分類について解説